中学受験の塾費用は年間いくら?小6で年57万〜93万円の塾別比較と3年総額をFPが石川メソッド3軸で解説

中学受験の塾代を石川メソッド3軸で解説するインフォグラフィック|小4〜小6の費用構造と個別指導相場を教育費アドバイザーの石川 恵美が解説

答え:中学受験の塾費用は、選ぶ塾と学年で大きく変わります。小6・4科目の通常授業料を年換算すると、臨海セミナー国立・私立中学受験コース(Vクラス)が年568,920円、早稲田アカデミーのSコースが年658,800円、SAPIXが年792,000円、四谷大塚の本科コースが年927,300円(9月から月額が上がる料金で計算)で、ここに季節講習費・志望校別の講座・模試・教材費が加わります(SAPIXは教材費・テスト代を授業料に含む)。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)では、中学受験家庭が多い私立小学校6年生の補助学習費は年間59.6万円です。公立中高一貫校を目指す臨海セミナーの都立・公立中高一貫校受検コースは小6で年211,200〜330,000円と、志望校の種別でも費用水準が分かれます。

中学受験を意識した瞬間から、家計の景色は一気に変わります。SAPIXの月謝は小4の45,650円から小6で66,000円に上がり、四谷大塚の本科コースは小6の9月から月90,750円になります。ここに季節講習や志望校別の講座が重なるため、「中学受験の塾代は平均していくら」という単一の答えだけで判断すると、実際の家計負担とは大きくずれてしまうのが、この学年帯の難しさです。

本記事では、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)の最新統計と、SAPIX・四谷大塚・早稲田アカデミー・臨海セミナーなどの公開料金を起点に、中学受験の塾費用の月平均と年間費用・学年別の費用カーブ・塾別の年間費用一覧・大手塾の費用構造・個別指導の料金・実質コストと家計適合の判断軸までを、教育費を専門領域とするファイナンシャル・プランナーの視点で整理します。表面費用だけでなく「実質コスト」「家計適合」を順に通すことで、中学進学後の私立中学費用・公立中学進学後の塾代までを見据えた、3年累積で耐えうる家計設計につなげます。

FP

石川 恵美からのひとこと

中学受験は、教育費判断の難所が3つすべて重なる学年帯です。表面費用が学年で跳ね上がる、隠れコストが入塾後に次々と現れる、そして中学進学後にもまた別の教育費が始まる。この記事では、文科省最新統計と大手塾の公開料金を3軸で再集計し、3年累積で耐えうる塾選びの判断軸を整理しました。

中学受験の塾費用は年間いくらか

中学受験家庭の塾代は、文科省の最新統計と大手中学受験塾の公開料金を組み合わせて読み解くのが現実的です。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)では、中学受験家庭が多い私立小学校6年生の補助学習費は年間59.6万円。これに対し、SAPIXの小6月謝66,000円を年換算すると79.2万円となり、文科省の平均を約20万円上回ります。臨海セミナー国立・私立中学受験コースの小6(Vクラス・算国理社)は月47,410円・年568,920円で、文科省の平均に近い水準です。

公的統計から見える中学受験家庭の塾代の輪郭

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)では、私立小学校6年生の補助学習費(家庭内学習費・通信教育・家庭教師費・学習塾費などの合計)は年間59.6万円、月平均で約5.0万円と報告されています。このうち学習塾費は年442,735円で、公立小学校6年生(145,161円)の約3倍です。私立小学校6年生の値は、中学受験を考える家庭の目安の一つとして参照できます。一方、公立小学校6年生の補助学習費は年間18.7万円・月平均1.6万円で、ここには中学受験対策をする家庭としない家庭の両方が含まれます。

ただし、これらの公的統計は「中学受験する家庭」と「しない家庭」を分けて集計しているわけではありません。実態としては、公立小学校から中学受験する家庭の塾代は、私立小学校に通う家庭の平均値より高くなることも珍しくありません。SAPIX小6の月謝公開料金66,000円を年換算すると79.2万円となり、文科省私立小6補助学習費(59.6万円)を約20万円上回ります。四谷大塚の本科コース小6は9月から月額が上がり、通常授業料だけで年927,300円です。

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要(表5・表6)・SAPIX小学部「2026年度 授業料」・四谷大塚「受講料」(直営校舎・税込)・臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」(2026年11月3日確認)

中学受験家庭の塾代月平均レンジ

大手中学受験塾の公開料金をもとに、学年ごとの月額と年間の通常授業料をまとめると以下の通りです。

学年公開料金の例(月額・税込)月額の幅(左の4塾)年間の通常授業料(月額×12)
小4SAPIX 45,650円・四谷大塚 41,800円・早稲田アカデミー 33,300円・臨海セミナーV 22,000円22,000〜45,650円264,000〜547,800円
小5SAPIX 57,750円・早稲田アカデミー 54,000円・四谷大塚 52,250円・臨海セミナーV 32,010円32,010〜57,750円384,120〜693,000円
小6前期(〜8月)四谷大塚 67,650円・SAPIX 66,000円・早稲田アカデミー 54,900円・臨海セミナーV 47,410円47,410〜67,650円―(小6の年額は下の行)
小6後期(9〜1月)四谷大塚 90,750円(学校別対策コースは+31,900円)・SAPIX 66,000円・早稲田アカデミー 54,900円・臨海セミナーV 47,410円47,410〜90,750円小6通年 568,920〜927,300円

出典:SAPIX小学部「2026年度 授業料」・四谷大塚「受講料」(本科コース4教科・直営校舎)・早稲田アカデミー各コースの実施要項(小4/小5/小6のSコース4科・2026年度)・臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」(Vクラス 算国理社)(2026年11月3日確認)。年額は月額×12で、四谷大塚の小6は2〜8月の7か月を67,650円、9〜1月の5か月を90,750円として当サイトが計算しました。季節講習費・教材費・模試代などは含みません(SAPIXは教材費・テスト代を授業料に含む)。

表のとおり、月額は学年が上がるほど高くなります。SAPIXは小4の45,650円から小6の66,000円へ約1.45倍、四谷大塚の本科コースは小4の41,800円から小6の9月以降の90,750円へ約2.2倍です。さらに小6では、季節講習・志望校別の講座・直前期の講座・模試代・教材費といった「月謝以外の費用」が重なります。

「平均値」だけで判断しない

中学受験の塾代について「平均はいくら」という単一の答えに頼ると、判断を誤ります。同じ「中学受験家庭」でも、以下のような要因で年間費用は大きく分かれます。

  • 選ぶ塾(小6・4科目の月額で、臨海セミナーVクラス47,410円から四谷大塚の9月以降90,750円まで差がある)
  • 通塾頻度(週2コマか週5コマ+特訓ありか)
  • 個別指導の併用有無(集団塾だけか、個別指導を組み合わせるか)
  • 志望校レベル(難関校対策は特訓・直前期講座が増える)
  • 家庭教師の併用有無(併用すると、その費用がそのまま上乗せになる)

同じ「中学受験塾代」でも、通常授業料の年換算だけで、小6・4科目は年568,920円(臨海セミナーVクラス)から年927,300円(四谷大塚 本科コース)まで開きがあり、個別指導や家庭教師を併用すればさらに増えます。次の章では、学年別にどう塾代が推移するかを詳しく見ていきます。

学年別に見る中学受験の塾費用(小4・小5・小6)

中学受験の塾代は、文部科学省の学年別補助学習費(私立小学校)で見ると、小4=35.3万円、小5=49.1万円、小6=59.6万円と段階的に上昇します。中学受験本格期の3年累積(私立小4+小5+小6)は約144万円、小3を含む4年累積では約170万円。公開料金で見ると、小4〜小6の通常授業料の3年合計はSAPIXで2,032,800円、臨海セミナー国立・私立中学受験コース(Vクラス)で1,217,040円で、ここに季節講習費・志望校別の講座費などが加わります。

小4:中学受験準備期(通常授業料で年26万〜55万円)

小4は、SAPIXや四谷大塚で4教科の授業料が設定される学年で、中学受験のカリキュラムが本格的に始まる時期です。文部科学省の私立小4補助学習費は年間35.3万円。公開料金では、SAPIXの小4月謝が45,650円(年換算547,800円・教材費とテスト代を含む)、四谷大塚の本科コース(4教科)が41,800円、早稲田アカデミーのSコース(4科)が33,300円、臨海セミナーの国立・私立中学受験コース(Vクラス・算国理社)が22,000円です。臨海セミナーの小4は低学年特別価格の対象で、条件を満たすと月11,000円で受講できます。季節講習費・テスト代などは塾によって別にかかります。

小4時点で家庭が見落としがちなのが、ここから2年で月額が大きく上がるという構造的事実です。SAPIXの月謝は小4の45,650円から小6で66,000円(約1.45倍)、四谷大塚の本科コースは小6の9月から90,750円(小4の約2.2倍)になります。中学受験塾を選ぶときは、小4の月謝ではなく「小6最盛期の年間費用」で比較すべきです。

小5:カリキュラム本格化期(通常授業料で年38万〜69万円)

小5になると、月謝はSAPIXで57,750円(年換算693,000円)、早稲田アカデミーのSコースで54,000円、四谷大塚の本科コースで52,250円、臨海セミナーのVクラス(算国理社)で32,010円に上がります。文科省私立小5補助学習費は年間49.1万円。これに加えて、春期・夏期・冬期の講習や模試の費用がかかります。

小5は「塾代に対する家計の耐性」が試される学年です。小4時点で「想定通り」と感じていた家計でも、小5の上昇カーブで「想定より重い」と感じ始める家庭が増えます。ここで小6最盛期の費用を見据えて「3年累積で耐えうるか」を再判断することが、家計適合の観点から重要です。

小6:受験本番期(通常授業料で年57万〜93万円)

小6は中学受験塾の費用が最も大きくなる学年です。文科省私立小6補助学習費は年間59.6万円で、これは学習塾費だけでなく家庭教師・通信教育などを含む平均です。公開料金では、SAPIXの小6月謝が66,000円(年換算792,000円)、早稲田アカデミーのSコースが54,900円(年換算658,800円・別途年会費月2,900円)、四谷大塚の本科コース(4教科)が8月まで67,650円・9月から90,750円(学校別対策コースを受講する場合は+31,900円)、臨海セミナーのVクラス(算国理社)が47,410円です。これに志望校別の講座・模試・正月特訓・直前期の講座が加わります。

小6後期(9月以降)は、志望校別の講座・模試・直前期講座の費用が重なる時期です。四谷大塚の場合、9月から1月までの5か月は本科コースの受講料が月90,750円、学校別対策コースを加えると月122,650円になります。塾代を「年間予算」で平準化するのではなく、小6後期に月額が上がる前提で家計を組むことが、家計適合の観点から重要です。

学年文科省 私立小 補助学習費(年額)SAPIX月謝×12(年換算)早稲アカ受講料の年額(2026年度)
小325.7万円25,300円×12=30.4万円14,700円×2(2・3月 2科)+29,500円×10(4月〜 4科)=32.4万円
小435.3万円45,650円×12=54.8万円33,300円×12=40.0万円
小549.1万円57,750円×12=69.3万円54,000円×12=64.8万円
小659.6万円66,000円×12=79.2万円54,900円×12=65.9万円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要(表5)・SAPIX小学部「2026年度 授業料」・SAPIX小学部「よくあるご質問」・早稲田アカデミー各コースの実施要項(小3のジュニアコース/小4・小5・小6のSコース受講料)(2026年11月3日確認)。SAPIXの授業料にはテスト費用・教材費が含まれ、特別講習の費用・書籍代・公開模試の費用は別です。早稲田アカデミーには別途年会費(小3 月1,870円・小4〜小6 月2,900円)・教材費・テスト代がかかります。

学年別の費用上昇カーブの特徴

中学受験塾代の学年別カーブには、以下の3つの特徴があります。

01

小4→小6で1.7倍に上昇(文科省統計ベース)

文科省私立小の補助学習費で見ると、小4=35.3万円が小6=59.6万円に上昇する標準カーブです(1.69倍)。家計の耐性は3年で試されます。

02

小6後期に費用が集中

志望校別の講座・正月特訓・直前期講座・模試が集中。四谷大塚は小6の9月から本科コースが月90,750円、学校別対策コースを加えると月122,650円。

03

中学進学後にも教育費が続く

私立中進学で学習費総額が年間約156万円(文科省 私立中の平均)、公立中進学で補助学習費が年間27.2万円(文科省 公立中の平均)が翌年から始まります。

この3つの特徴を理解した上で、小4で塾を選ぶ時点で「小6最盛期と中学進学後を含めた4年間の累積費用」を試算しておくのが、家計適合の観点から最も合理的です。

私立小学校の学習費総額は平成24年度から令和5年度で22.5%上昇

もう一つ見落としがちなのが、教育費そのものの上昇傾向です。文部科学省の過去推移データによると、私立小学校の学習費総額は、平成24年度の142.2万円から令和5年度の174.2万円へ、22.5%上昇しています。同じ期間で公立中学校(45.0→54.2万円・20.4%上昇)、公立高校(38.6→59.7万円・54.7%上昇)も大きく上昇しており、教育費全体が家計を圧迫する方向に動いています。

中学受験家庭は、「今の塾代」を「今の家計」で判断するだけでなく、「中学進学後の4〜6年間の累積教育費」を「現在の上昇傾向を加味した試算値」で見据えることが、長期的な家計設計上の現実解になります。

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要(図1-1 学校種別学習費総額の推移)(2026年11月3日確認)

中学受験塾の費用構造(月謝・教材費・季節講習・特訓・模試)

中学受験塾の年間費用は、月謝だけで決まりません。月謝に加えて、入塾金・教材費・テスト代・季節講習費・志望校別の講座費・直前期講座費・模試費が積み重なります。何が月謝に含まれるかは塾によって違い、SAPIXは教材費とテスト代を授業料に含みますが、四谷大塚は教材費(4〜6年生は半年ごとに20,000〜40,000円程度)とテスト受験料が別です。「月謝の額面」だけで塾を比較すると、総額のイメージを大きく見誤ります。

中学受験塾の費用項目を6つに分解する

中学受験塾の年間費用を、構成する費用項目別に分解すると以下のようになります。費用項目は大手中学受験塾(SAPIX・四谷大塚・早稲田アカデミー・臨海セミナーなど)に共通しますが、どこまでを授業料に含むかは塾によって異なります。

費用項目小4の例(公開料金)小6の例(公開料金)備考
① 月謝(授業料)SAPIX 45,650円・四谷大塚 41,800円・臨海セミナーV 22,000円(月額)SAPIX 66,000円・四谷大塚 67,650円(9月から90,750円)・臨海セミナーV 47,410円(月額)年額は月額×12(四谷大塚の小6は7か月+5か月で計算)
② 入塾金SAPIX 入室金33,000円・四谷大塚 入会金22,000円・早稲田アカデミー 入塾金22,000円入塾時のみ四谷大塚は兄弟の同時入会・再入会で免除
③ 教材費・テキスト代SAPIXは授業料に含む/四谷大塚は半年20,000〜40,000円程度同左早稲田アカデミー・臨海セミナーは別途(金額は教室で確認)
④ 季節講習費(春・夏・冬)各塾が別途案内各塾が別途案内SAPIX・四谷大塚とも授業料とは別
⑤ 志望校別特訓・直前期―(該当なし)四谷大塚 学校別対策コース 月31,900円(9月〜)SAPIX・早稲田アカデミーの志望校別講座の金額は公式で確認できず
⑥ 模試・テスト代SAPIXは組分けテストなどを授業料に含む四谷大塚 合不合判定テスト 5,830円×6回=34,980円SAPIXの公開模試(3年生後期以降)は別料金
合計塾により月謝に含む範囲が違う四谷大塚の例:受講料927,300円+学校別対策159,500円+合不合34,980円+教材費(年4万〜8万円程度)=約116万〜120万円講習費・入塾金は含まない

出典:SAPIX小学部「2026年度 授業料」・SAPIX小学部「よくあるご質問」・四谷大塚「受講料」・早稲田アカデミー「費用のご案内」・臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」(2026年11月3日確認)。表の合計は公開料金から当サイトが計算した値です。

月謝と「月謝以外」の比率に注意

四谷大塚の小6を例にすると、本科コースの受講料927,300円に、学校別対策コース159,500円・合不合判定テスト34,980円・教材費(年4万〜8万円程度)を加えた額は約116万〜120万円で、受講料はその約8割です。ここに春期・夏期・冬期の講習費が加わります。塾選びで「月謝5万円」という数字に注目すると、実際の年間総額が月謝×12か月を大きく上回ることを見落とします。

家計設計では、月謝より「月謝以外で年間いくら」を先に把握することが、表面費用を正しく捉える原理です。同じ月謝の塾でも、講習費や志望校別の講座費の構成によって年間総額は大きく変わります。

季節講習(春・夏・冬)の費用が大きい

季節講習は、中学受験塾の費用項目の中で月謝に次いで大きくなりやすい費用です。SAPIX・四谷大塚ともに講習費は授業料とは別で、金額は講習ごとに案内されます。塾によっては夏の合宿を組み込む場合もあり、別途の負担になります。

季節講習は「全員参加が基本」と説明されることが多いですが、家計負担との兼ね合いで一部講習をスキップする選択もありえます。ただし、季節講習でカリキュラムを先取りする塾では、スキップすると次の通常授業についていけなくなるリスクがあります。塾に「事実上の必須度」を入塾前に確認しておくことが、家計適合の観点から重要です。

夏期講習は中学受験塾代の中で月謝に次ぐ大きな費用カテゴリーであり、学年別の相場・賢い使い方は夏期講習の費用相場・小中高まとめで小中高を横断して整理しています。

志望校別特訓・直前期講座の費用が小6後期に集中

志望校別の講座(SAPIXのSS特訓、早稲田アカデミーのNN志望校別コース、四谷大塚の学校別対策コースなど)は、小6の9月以降に組み込まれる講座です。四谷大塚の学校別対策コースは月31,900円で、9〜1月の5か月で159,500円です。SAPIX・早稲田アカデミーの志望校別講座の金額は、公式サイトの料金ページでは確認できませんでした。これに加えて、各塾の正月特訓・直前期の講座・志望校別の模試が組み込まれます。

家計設計では、塾代を「年間予算」で平準化するのではなく、小6後期に月々の支出が増える前提で組むことが現実的です。四谷大塚の例では、小6の9月以降の受講料と学校別対策コースの合計が月122,650円で、8月までの本科コース受講料67,650円の約1.8倍です。

模試・テスト代の積み上げに注意

中学受験では、塾内のテストに加えて、合不合判定テストなどの公開模試を受けることがあります。四谷大塚の合不合判定テストは受験料5,830円で、四谷大塚の在籍生は小6の4月・7月・9月〜12月の6回分(計34,980円)が月額受講料に加算されます。SAPIXは組分けテスト・マンスリーテストなどの費用を授業料に含みますが、3年生後期以降の公開模試は別料金です。

模試は受験戦略上必要なものですが、塾代の中で見落とされやすい費用項目の一つです。模試代が授業料に含まれるか別料金かは塾によって違うため、入塾前に確認しておく必要があります。

「月謝の額面」では見えない費用構造

中学受験塾の費用構造を理解する上で重要なのは、月謝だけが固定的な費用で、それ以外の費用は学年・時期によって発生量が大きく変わるという点です。小4の月謝を「毎月の負担」と理解して入塾すると、小6後期に受講料・志望校別の講座・模試が重なる構造を見落とします。

塾を比較するときは、必ず以下の3点を揃えて比較することが、表面費用を正しく把握する原理です。

  • 小6を含む全学年の年間総額(月謝+季節講習+特訓+模試の合計)
  • 3年累積(小4から小6までの合計)
  • 月別の費用カーブ(平準ではなく小6後期で集中する点を把握)

臨海セミナーの中学受験コースの費用構造

臨海セミナーの中学受験コースは、首都圏(神奈川県・東京都・千葉県・埼玉県)を中心に展開しています。2026年度の公式公開料金では、国立・私立中学受験コースの通常授業料は小4のVクラス4科目で22,000円、小5で32,010円、小6で47,410円、都立・公立中高一貫校受検コースの小6は4科目で17,600〜27,500円(地域により異なる)です。小6の4科目で比べると、SAPIX(年792,000円)より年223,080円低い水準です。

臨海セミナー中学受験コースの公開料金

臨海セミナーの中学受験対応コースは、目的別に2系統に分かれています。それぞれの2026年度の公式公開料金は以下の通りです。

国立・私立中学受験コースは、御三家を目指すαクラスと国私立中を目指すVクラスでクラス編成が分かれ、受講科目数でも料金が変わります。

学年α 算国理社V 算国理社V 算国V 単科(算数/国語)
小1──7,480円─
小2──9,350円6,600円
小3─11,000円9,350円6,600円
小424,200円22,000円14,850円9,900円
小536,300円32,010円22,330円─
小649,720円47,410円30,800円─

出典:臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」(2026年度適用)。月額・税込。別途、登録手数料・維持費・模擬試験代・講座費用・教材費がかかります。(2026年11月3日確認)

低学年には「低学年特別価格」が設定されており、小1〜小3は月額5,500円、小4は月額11,000円で受講できます(小1・小2は算国、小3・小4は算国または算国理社の履修と、特別価格申請書の提出が条件)。特待生制度は小1〜小6の全学年が対象で、入会テスト・模擬試験などの成績で認定されます。

もう一方の都立・公立中高一貫校受検コースは、適性検査型入試に対応した料金体系です。通常授業料は地域によって2区分に分かれています。

学年科目通常授業料(地域により異なる)割引適用後
小4算国9,900円5,500円
小5算国理社14,300円 または 19,800円5,500円
小6算国理社17,600円 または 27,500円9,900円

出典:臨海セミナー「都立・公立中高一貫校受検 授業料」(2026年度適用)。月額・税込。通常授業料は地域により2区分あり、割引が適用されるのは4科目受講のみです。一部対象外の地域があります。別途、登録手数料・維持費・模擬試験代・講座費用・教材費がかかります。(2026年11月3日確認)

2系統の料金水準を比べると、私立中受験を目指す国立・私立中学受験コースは小6のVクラス4科目で月47,410円、公立中高一貫校を目指すコースは小6の4科目で月17,600〜27,500円と、志望校の種別によって費用構造が大きく変わります。小4〜小6の通常授業料の3年合計は、国立・私立中学受験コース(Vクラス・算国理社)が1,217,040円、都立・公立中高一貫校受検コースが501,600〜686,400円(地域により異なる)です。

2系統のコース設計と志望校層

同社の中学受験コースは、首都圏の私立中学・国立中学を狙う「国立私立中学受験コース」と、東京都立や神奈川・埼玉・千葉の公立中高一貫校を狙う「都立公立中高一貫校受検コース」の2系統で設計されています。受検形態(私立中受の知識型入試と公立中高一貫校の適性検査型入試)で対策内容が異なるため、コースを分離している構造です。

料金面では、SAPIX 小6月謝66,000円・早稲田アカデミーSコース小6 54,900円・四谷大塚 本科コース小6 67,650円(9月から90,750円)といった首都圏の中学受験塾と比べて、臨海セミナー中学受験コースは小学校段階の月謝水準が抑えられています。3年累積(小4〜小6)で家計が耐えうる範囲に塾代を収めたい家庭、首都圏の中堅〜難関私立中・公立中高一貫校を志望校とする家庭にとって、検討候補に入れやすい選択肢の一つです。

対応自治体助成・他コースとの連続性

大阪市の「習い事・塾代助成事業」の教室等検索では、臨海セミナーの十三校など大阪府内の教室が掲載されています(2026年11月3日確認)。大阪市在住の小5〜中3の家庭は、月額1万円を上限とする助成で塾代の実負担を直接下げることができます(詳細は実質コストの章を参照)。

もう一つ実務上の利点として、臨海セミナーには中学部(高校受験)と大学受験科もあり、中学進学後も同じ塾で学び続ける選択肢があります。中学受験の結果にかかわらず、次の塾選びをやり直す負担を抑えられます。

最新のコース料金・季節講習費・対応教室は同社公式サイトで確認できます。

中学受験塾の年間費用を一覧で比較する

中学受験塾の年間費用は、小6・4科目の通常授業料を年換算すると年21万円台から92万円台まで、4倍以上の幅があります。臨海セミナーの都立・公立中高一貫校受検コース小6が年211,200〜330,000円、国立・私立中学受験コース小6(Vクラス)が年568,920円、早稲田アカデミー小6のSコースが年658,800円、SAPIX小6が年792,000円、四谷大塚の本科コース小6が年927,300円です。いずれも通常授業料の年換算で、季節講習費・志望校別の講座費・模試費は含みません(SAPIXは教材費・テスト代を含む)。

年間費用の目安一覧(安い順)

主要な中学受験塾の年間費用を、小6・4科目の通常授業料を年換算した金額で安い順に並べたのが下表です。公式の料金表を確認できなかった塾は、金額を記載していません。

順位塾・コース(小6)年間費用の目安月額・条件
1臨海セミナー 都立・公立中高一貫校受検コース年211,200〜330,000円月17,600〜27,500円・4科目・地域差あり
2臨海セミナー 国立・私立中学受験コース(Vクラス)年568,920円月47,410円・4科目
3早稲田アカデミー(Sコース)年658,800円月54,900円・4科・別途年会費月2,900円
4SAPIX年792,000円月66,000円・教材費とテスト代を含む
5四谷大塚(本科コース)年927,300円8月まで月67,650円・9月から月90,750円・4教科
―日能研公式の料金表を確認できず教室での案内

出典:臨海セミナー「都立・公立中高一貫校受検 授業料」・臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」・早稲田アカデミー「小学6年生対象 Sコース 実施要項」・SAPIX小学部「2026年度 授業料」・四谷大塚「受講料」(2026年11月3日確認)。通常授業料(SAPIXは教材費・テスト代込み)の年換算で、季節講習費・志望校別の講座費・模試費・入塾金は含みません。四谷大塚は2〜8月の7か月を67,650円、9〜1月の5か月を90,750円として当サイトが計算しました。

一覧の上位は、臨海セミナーの公立中高一貫校対策と国立・私立中学受験コースです。臨海セミナーの国立・私立中学受験コース小6は年568,920円で、SAPIX小6の年792,000円に対して約72%の水準です。同じ4科目の集団指導でも、塾によって年20万円以上の差が生まれます。

下位に並ぶ塾は、小6後期に月額が上がる、または志望校別の講座を別枠で持つ設計です。四谷大塚は小6の9月から本科コースの受講料が月90,750円に上がり、学校別対策コース(月31,900円)を受講すると9〜1月の5か月で159,500円が加わります。年間費用の一覧を見るときは、この「別枠の講座費」が金額に含まれているかどうかを必ず確認してください。

一覧の読み方 ── 年間費用が総額ではない理由

この一覧に並ぶ金額は、あくまで通常授業料の年換算です。中学受験塾の実際の年間総額は、ここに次の費用が加わります。

  • 季節講習費(春期・夏期・冬期。SAPIX・四谷大塚とも授業料とは別に案内)
  • 志望校別の講座・直前期講座(四谷大塚の学校別対策コースは月31,900円・9〜1月で159,500円)
  • 模試・テスト代(四谷大塚の合不合判定テストは5,830円×6回=34,980円。SAPIXは授業内のテストを授業料に含む)
  • 教材費・テキスト代(四谷大塚は4〜6年生で半年20,000〜40,000円程度。SAPIXは授業料に含む)
  • 入塾金(SAPIXの入室金33,000円、四谷大塚の入会金・早稲田アカデミーの入塾金22,000円)

四谷大塚の小6では、通常授業料927,300円に学校別対策コース・合不合判定テスト・教材費を加えると約116万〜120万円になり、講習費はさらに別です。塾を費用で比べるときは、公開されている月謝の年換算だけでなく、季節講習と志望校別の講座を含めた総額で並べ直す必要があります。項目ごとの内訳は、前章の費用構造と表面費用の章で分解しています。なお、中学受験をしない家庭も含めた小学生全体の費用水準と比べたい場合は、小学生の塾代の月平均が比較の基準になります。

主要中学受験塾の費用構造(SAPIX・四谷大塚・早稲アカ・日能研)

中学受験塾は、最難関校対策を中心とする塾から、地域の中堅〜上位校に対応する塾まで方向性が分かれ、年間費用も違います。公開料金では、SAPIXの小6が年換算792,000円、四谷大塚の本科コース小6が年927,300円、早稲田アカデミーのSコース小6が年658,800円です。日能研は当サイトで公式の料金表を確認できませんでした。志望校レベルと塾の方向性の適合度が、費用面の判断軸の出発点です。

SAPIX(サピックス):公式サイトで授業料を公開・最難関校対策が中心

首都圏・関西圏に校舎を持ち、難関中学の受験対策を中心とする集団塾です。2026年度の授業料を公式サイトで公開しており、授業料には組分けテスト・マンスリーテストなどのテスト費用と、テキスト・プリントの教材費が含まれます。

学年月謝(税込)入室金(税込)年換算(月謝×12)
小122,000円33,000円264,000円
小223,100円33,000円277,200円
小325,300円33,000円303,600円
小445,650円33,000円547,800円
小557,750円33,000円693,000円
小666,000円33,000円792,000円

出典:SAPIX小学部「2026年度 授業料」・SAPIX小学部「よくあるご質問」(2026年11月3日確認)。入室時に入室金33,000円と2か月分の授業料が必要です。授業料にはテスト費用・教材費が含まれ、春期・夏期などの特別講習の費用、書籍代、3年生後期以降の公開模試の費用は別です。関西校舎は選択授業により授業料が異なります。

小6の年間費用は、月謝の年換算792,000円に、特別講習(春期・夏期・冬期)や志望校別の講座の費用が加わります。小4〜小6の月謝だけの3年合計は2,032,800円です。最難関校対策を中心とするため、難関校以外を志望校とする家庭には、費用対効果の観点で他塾のほうが適合する場合もあります。

日能研:当サイトで公式の料金表を確認できず

全国に教室を展開する大手中学受験塾です。当サイトでは公式サイトで一律の料金表を確認できなかったため、金額は記載していません。受講料・講習費・テスト代は、教室での案内で確認してください。志望校レベルに応じたクラス分けがあり、上位のクラスや難関校対策の講座は費用が加わる場合があります。

四谷大塚:直営校舎の受講料を公開・「予習シリーズ」で知られる

教材「予習シリーズ」で知られる中学受験塾です。直営校舎の月額受講料は公式サイトで公開されており、本科コース(4教科)は4年生41,800円・5年生52,250円・6年生67,650円(〜8月)/90,750円(9月〜)、入会金22,000円です(兄弟の同時入会・再入会は免除)。6年生の9月からの学校別対策コースは月31,900円、教材費は4〜6年生で半年ごとに20,000〜40,000円程度、合不合判定テストは5,830円で、講習受講料は別途案内されます。小6の受講料を年換算すると927,300円(2〜8月の7か月を67,650円、9〜1月の5か月を90,750円として計算)、小4〜小6の3年合計は2,055,900円です。

出典:四谷大塚「受講料」(直営校舎・税込)(2026年11月3日確認)

早稲田アカデミー:難関私立中・国立中対策のニッチに特化

難関私立中・国立中の受験対策を中心とする集団塾で、小6の後期には志望校別の「NN志望校別コース」を設けています。2026年度の主要コースの受講料は以下の通りです。

学年・コース受講料(月額・税込・2026年度)入塾金(税込)
小3 ジュニアコース(2・3月 2科)14,700円22,000円
小3 ジュニアコース(4月〜 4科)29,500円22,000円
小4 Sコース(4科)33,300円22,000円
小5 Sコース(4科)54,000円22,000円
小6 Sコース(4科)54,900円22,000円
年会費(月額)小3 1,870円・小4〜小6 2,900円―

出典:早稲田アカデミー各コースの実施要項(小3/小4/小5/小6)・早稲田アカデミー「費用のご案内」(2026年11月3日確認)。受講料のほかに年会費・教材費・テスト代が必要です。2027年2月からの2027年度は受講料が改定されます(小6 Sコース 56,400円など)。NN志望校別コースの受講料は公式サイトで確認できなかったため記載していません。

小6の年間費用は、Sコースの受講料(年換算658,800円)に年会費(年34,800円)・教材費・講習費・志望校別コースの受講料が加わります。早稲田アカデミーは難関私立中・国立中の受験対策を中心に置く塾で、コース構成も難関校向けです。中堅校・地元の伝統校・公立中高一貫校が志望校の家庭にとっては、コース内容と志望校層の不一致から、費用対効果の観点で他塾のほうが適合する場合もあります。

地域型中学受験塾の選択肢

関西圏では浜学園・希学園が代表的な中学受験塾です。首都圏でも栄光ゼミナール・市進学院などが地域に根差した中学受験コースを展開しています。料金は塾によって幅があり、公式サイトで料金表を公開していない塾もあるため、教室での案内を確認する必要があります。地域密着型は通塾の利便性・地元志望校への対応力で選ばれる場合が多い類型です。

選び方の判断軸

大手中学受験塾を選ぶ際の費用面の判断軸は、月謝の比較だけでは不十分です。以下の4軸で総合判断するのが現実的です。

判断軸確認ポイント家計への影響
志望校レベルとの適合志望校別特訓・合格実績の傾向難関校対策塾は特訓費が高額になりやすい
通塾頻度・コマ数週何コマ・何時間かコマ数が多いほど月謝が上がる
季節講習・特訓の必須度「事実上必須」か任意か必須なら講習・特訓の費用が授業料とは別に加わる
地域・通塾利便性自宅から通える教室があるか遠方通塾は交通費・送迎時間が累積

「最難関校対策」を志望校に含めない家庭にとっては、最難関校対策専門塾を選ぶことで月謝・特訓費が無駄に高くなる場合があります。逆に、最難関校を志望校とする家庭にとっては、最難関校に強い塾を選ばないと特訓カリキュラムの不足で対策が手薄になります。志望校レベルと塾の方向性の適合度が、費用面の判断軸の出発点です。

中学受験のための個別指導の相場

中学受験のための個別指導の料金は、講師・時間・週の回数で大きく変わります。公開料金では、明光義塾の小6(東京都・神奈川県・90分授業)が週1回14,300円・週2回26,400円・週3回37,400円、臨海セレクトの「小5・小6 中学受験 4科強化パック」(算国は個別授業、理社は映像授業・週4日通塾)が月30,500円です。プロ講師の個別指導や家庭教師は料金を公開していないことが多く、個別見積りが中心です。集団塾と併用する場合は、個別指導の授業料がそのまま上乗せになります。

中学受験における個別指導・家庭教師の使い方

中学受験では、集団塾と個別指導の使い分けは大きく以下の3パターンに分かれます。

使い方典型的な構成年間の例(公開料金)3年累積の例(公開料金)
集団塾メイン(個別指導なし)中学受験塾の通常授業小6の通常授業料 568,920円(臨海セミナーV)〜927,300円(四谷大塚)小4〜小6の通常授業料 1,217,040円(臨海セミナーV)〜2,055,900円(四谷大塚)
集団塾メイン+個別補完(週1)集団塾+苦手科目の個別指導上記+明光義塾 小6 週1回 年171,600円など個別の授業料がそのまま上乗せ
個別指導メイン(中学受験対応)個別指導塾で4教科臨海セレクト 4科強化パック 年366,000円(小5・小6)小5・小6の2年で732,000円+教材費
家庭教師メインプロ家庭教師+集団塾個別見積り(料金非公開が多い)算出不可

個別指導の相場:中学受験対応コース

中学受験対応の個別指導塾の料金は、講師・指導時間(45分・90分・100分など)・週コマ数で大きく分かれます。公開料金の例は以下の通りです。

01

明光義塾(小6・90分・週1回)

月14,300円、年171,600円。小5は月13,200円。東京都・神奈川県の公開料金。

02

明光義塾(小6・90分・週2回)

月26,400円、年316,800円。週3回は月37,400円。

03

臨海セレクト(小5・小6 中学受験 4科強化パック)

月30,500円、年366,000円。算国は個別授業、理社は映像授業で週4日通塾。別途教材費。

04

プロ講師の個別指導・家庭教師

料金を公開していないことが多く、個別見積りが中心。志望校の過去問対策などに使われることが多い。

公開料金から見た個別指導の費用

臨海セレクトの単科(個別授業+TSP、1科目100分・週1コマ)は月12,500円で、中学受験を希望する場合も受講できます。苦手な1科目だけを個別で補う場合、集団塾の授業料に年150,000円が加わる計算です。

明光義塾で小6の週2回(月26,400円)を集団塾と併用すると、年316,800円の上乗せです。SAPIX小6の月謝(年792,000円)と合わせると年1,108,800円になります。個別指導の併用は、集団塾の年間費用を大きく押し上げます。

個別指導塾の料金は中学受験以外の学年帯でも家庭の判断材料になります。学年別の相場一覧・料金構造の詳細は個別指導塾の料金相場・全学年まとめで整理しています。

出典:明光義塾「授業料シミュレーション」(東京都・神奈川県・90分授業)・臨海セレクト「授業料」(2026年11月3日確認)。家庭教師・プロ講師の個別指導は料金を公開していないことが多く、金額は記載していません。

集団塾メインが費用対効果で優位なケース

中堅〜上位校志望で、お子さんが集団授業でついていけている場合、集団塾メインで個別指導を併用しない選択が費用対効果で優位になります。集団塾のカリキュラムは中学受験出題範囲を計画的に網羅しており、模試・テストでの定点観測も含めて受験対策のフルパッケージとなっているため、個別指導を追加する必要性が低くなります。

家計適合の観点では、集団塾の通常授業料だけで小6は年568,920円(臨海セミナーVクラス)〜927,300円(四谷大塚)かかります。ここに明光義塾の週1回(年171,600円)を加えるだけでも負担は大きく増えるため、お子さんが集団塾で問題なく進めている場合は併用を急ぐ必要はありません。

個別指導の併用が必要になるケース

一方で、以下の状況では個別指導の併用が中学受験成功のために必要になることがあります。

  • 特定科目(算数・国語など)で著しい弱点があり、集団授業についていけない
  • 志望校が難関校で、集団塾のカリキュラムだけでは過去問対策が手薄になる
  • 集団授業で質問するのが苦手で、個別の質問対応が必要
  • 通塾日数を減らしながら、効率的に対策したい

これらの状況では、集団塾の授業料に個別指導の授業料が上乗せされます。たとえばSAPIX小6(年792,000円)に明光義塾の週2回(年316,800円)を加えると年1,108,800円です。家計適合の観点では、併用前にお子さんの状況を冷静に評価し、「本当に併用が必要か」「集団塾の補習・自習室利用で補えないか」を検討することが重要です。

家庭教師の活用パターン

家庭教師は、中学受験では「集団塾の補完」として位置づけられるのが標準的です。志望校過去問対策・苦手科目の集中対策・小6後期の総仕上げで、週1〜2回・短期集中で利用するパターンが費用対効果として優位です。期間を区切って利用すれば、年間の上乗せを抑えられます。プロの家庭教師は料金を公開していないことが多いため、見積りで月額と期間を確かめてから決めるのが安全です。

一方で、家庭教師を週2〜3回・通年で利用すると、集団塾代と合わせた負担は大きく膨らみます。可処分所得に対する教育費比率を試算し、家計持続性の観点から慎重に判断する必要があります。

個別指導・集団塾・家庭教師の3形態を学年別・目的別に費用と効果で比較した整理は、個別 vs 集団 vs 家庭教師の費用比較にまとめています。中学受験以外の場面でも適用できる判断軸です。

個別指導・家庭教師の併用判断は、お子さんの学力状況・志望校レベル・家計の長期持続性を総合して判断する家計適合の問題です。「全員必要」「全員不要」という単純な答えはなく、家庭ごとに最適解が異なります。なお、個別指導塾の月謝が集団塾より高くなる構造的理由については個別指導塾はなぜ高いのか・1対1料金の真実で解説しています。

表面費用:見落としやすい中学受験の隠れコスト

中学受験の塾代には、月謝・季節講習・特訓・模試といった公表されている費用に加えて、入塾後に「事実上必須」として発生する隠れコストがあります。合宿費、過去問演習教材費、外部模試費、家庭教師・個別指導の併用費、通塾交通費・送迎時間コストなど、塾の授業料とは別に積み上がる費用があり、家計設計を狂わせる大きな要因の一つです。

中学受験における隠れコストの典型例

石川メソッドの中核概念である「実質コスト」は、表面費用(塾が公表している費用)に加えて、入塾後に発生する追加費用(隠れコスト)を加算して、還元・割引を差し引いた値です。中学受験では、特に以下の隠れコストが家計を圧迫します。

01

合宿費・宿泊型講習費

夏合宿・正月合宿などの宿泊型の講座は授業料とは別料金。「事実上必須」とされる塾もある。

02

家庭教師・個別指導の併用費

弱点補強で個別指導や家庭教師を併用すると、その授業料がそのまま上乗せ。明光義塾の小6週1回で年171,600円。

03

過去問演習教材・志望校別教材

志望校別の過去問・特別教材が必要になる。四谷大塚の必修教材は4〜6年生で半年20,000〜40,000円程度。

04

外部模試・志望校別模試の追加受験

塾内テスト以外の公開模試・志望校別模試の受験料。四谷大塚の合不合判定テストは1回5,830円。

05

通塾交通費・送迎コスト

電車通塾の交通費が毎月かかる。送迎の時間的コストも累積で大きい。

06

受験料・受験校交通費

小6で複数校を受験すると、受験料が校数分かかる。遠方の学校を受験する場合は交通費・宿泊費も発生。

「事実上必須」という言葉の二重チェック

中学受験塾では、季節講習・志望校別特訓・合宿などが「事実上必須」として案内されることがあります。塾の説明上は「希望者のみ」「任意参加」と書かれていても、実際には「ほとんどの生徒が参加する」「参加しないと授業についていけなくなる」状況になっていることが少なくありません。

これは表面費用と実質コストの差を生む最大の要因です。入塾前に「事実上の参加率」「不参加の場合のフォロー」を塾に明確に確認しておくことが、隠れコストを把握する第一歩です。「希望者のみですが、ほぼ全員参加されます」という回答が返ってくる場合、それは事実上必須と判断するのが安全です。

家庭教師・個別指導併用の費用構造

中学受験では、集団塾だけでは対応しきれない弱点科目・志望校特有の出題傾向への対策として、個別指導・家庭教師を併用する家庭が一定割合存在します。難関校志望では併用率が高く、家計負担も大きくなります。

併用形態月額(税込・公開料金の例)年間(月額×12)典型的な使い方
個別指導塾(週1回・90分)明光義塾 小6 14,300円171,600円弱点科目1教科の補強
個別指導塾(週2回・90分)明光義塾 小6 26,400円316,800円2教科以上の補強
個別指導(中学受験パック)臨海セレクト 4科強化パック 30,500円366,000円算国の個別授業+理社の映像授業
家庭教師(プロ)個別見積り―志望校過去問・難関校対策

個別指導・家庭教師の併用費は、集団塾の年間費用にそのまま上乗せされます。SAPIX小6(年換算792,000円)に明光義塾の週2回(年316,800円)を加えると年1,108,800円です。難関校志望で家庭教師を併用する場合は、さらに上乗せになります。

これは「中学受験家庭の塾代」を語るときに最も実態を見えにくくする要素です。塾代の月平均・年間総額・3年累積を試算するときは、必ず「集団塾だけの数字か、個別指導・家庭教師を含むか」を明示する必要があります。

受験本番期の費用も家計設計に組み込む

小6の1月〜2月は、塾代に加えて受験本番期の費用が発生します。受験料は学校ごとにかかり、出願校が増えるほど負担が増えます。これに加えて、入学手続き料(複数校に合格して手続きをするケース)、入学辞退する学校への入学金(返還される場合と返還されない場合がある)、入学する学校の入学金・寄付金等の費用が連続して発生します。

受験本番期(1月〜3月)は、塾の直前期の費用に加えて、受験料・入学手続き関連の費用が短期間に集中します。家計設計では、この時期の支出を出願校数と入学金をもとに事前に見積もり、資金を準備しておくことが必要です。

実質コスト:還元・特待生制度・兄弟割引で実負担を下げる

中学受験塾の実質コストは、表面費用から還元・割引を差し引いた金額です。中学受験塾には、特待生制度・兄弟割引・入会金の免除・低学年の特別価格などの還元制度があり、条件を満たせば負担を軽くできます。たとえば臨海セミナーの中学受験コースには、成績基準を満たすと授業料が全額免除になるA特待などの特待生制度があります。塾を選ぶ前に、利用可能な還元を網羅して実質コストで比較することが、家計適合の観点から重要です。

中学受験塾の還元制度の典型例

中学受験塾の還元制度は、塾によって有無・条件が大きく異なります。代表的な還元制度を以下に整理します。

還元制度公開されている例主な条件確認のポイント
特待生制度(成績優秀者)臨海セミナー A特待:授業料全額免除(講習費・特訓講座は対象外)入会テスト・模試・組分けテストなどの成績基準(小6は合不合判定テスト4科偏差値64以上など)基準を満たさなかった場合の費用で試算する
兄弟同時通塾割引臨海セレクト:下の子の月額授業料から2,000円引き兄弟姉妹が同時に在籍季節講習が対象外かどうか
入会金の免除四谷大塚:兄弟の同時入会・再入会で入会金22,000円を免除兄弟の同時入会・再入会免除の対象になる条件
低学年の特別価格臨海セミナー:小1〜小3は月5,500円、小4は月11,000円必修科目の履修と特別価格申請書の提出小5以降の通常授業料
上位クラスの料金優遇臨海セミナー α特待:αクラスをVクラスの授業料で受講(小4・小5など)成績基準対象学年・地域
紹介割引・キャンペーン塾・時期によって異なる在塾生からの紹介・キャンペーン期間中の入塾期間と対象者

これらの還元制度は塾の公式サイト・パンフレットには記載されていますが、家庭の状況に当てはまるかどうかは個別判断が必要です。「特待生制度がある」という事実だけでなく、「自分の家庭のお子さんが特待生条件をクリアできる可能性」を冷静に評価することが、誠実な還元評価の原理です。

特待生制度の現実的な評価

中学受験塾の特待生制度は、多くの塾で「入塾テストの上位○%」「全国模試の偏差値○以上」といった成績基準が設定されています。この基準をクリアできる家庭は限られており、「特待生制度があるから安心」という前提で塾選びをすると、実際に基準をクリアできなかった場合に家計設計が崩れます。

家計適合の観点では、特待生制度を「使えるかもしれない還元」ではなく「使える前提では考えない還元」として扱い、特待生にならない前提で年間費用を試算するのが安全です。実際に特待生になれた場合は、減免された金額(臨海セミナーのA特待で小6のVクラスなら年568,920円)を中学進学後の教育費・他の家計優先事項に振り向けることができます。

兄弟同時通塾割引は確実な還元

兄弟同時通塾割引は、特待生制度と違って成績条件が不要で、適用要件を満たせば確実に得られる還元です。割引の仕方は塾によって異なり、臨海セレクトでは兄弟姉妹が同時に在籍している場合、下の子の月額授業料から2,000円が割り引かれます(年24,000円)。四谷大塚は兄弟の同時入会で入会金22,000円が免除されます。

兄弟構成のある家庭では、塾選びの判断軸に「兄弟割引の有無・割引の内容」を含めることが現実的です。兄弟割引の有無で、累積の実質コストが変わります。

無料補習・自習室開放・面談の付帯価値

還元は現金の減免だけでなく、無料補習・自習室開放・追加面談などの「付帯価値」としても提供されます。これらは表面費用には現れませんが、実質コストを評価する上で重要です。

01

無料補習・追加授業

弱点科目の補習を無料で提供する塾は、個別指導費の節約に直結。

02

自習室・質問対応

自習室の開放時間・質問対応の充実度で、家庭学習の質と量が変わる。家庭教師併用の回避に。

03

進路面談の頻度

追加料金なしで面談回数が多い塾は、外部の相談サービスに頼る必要が減る。

自治体助成は対象事業者で実負担を直接下げる

大阪市の「習い事・塾代助成事業」は、大阪市内在住の小5〜中3を養育する家庭を対象に、学習塾・家庭教師・文化スポーツ教室などの費用を月額1万円を上限に助成する制度です。令和8年度からは、利用方法が「塾代助成カード」から「習い事・塾代助成クーポン(デジタルクーポン)」に変わりました。教室等検索では臨海セミナーの十三校など大阪府内の教室が掲載されています。年間で最大12万円の助成は、中学受験家庭にとっても実負担を直接下げる効果があります。

居住地の自治体に塾代助成制度があるかは、自治体公式サイトで確認できます。所得制限・支給額・対象学年は変更される可能性があるため、入塾前に最新の制度内容を確認することが必要です。中学受験を本格的に検討する家庭の場合、公的助成は「使えれば助かる」レベルの還元として位置づけ、家計設計の主軸には組み込まないのが現実的です。

出典:大阪市「令和8年度大阪市習い事・塾代助成事業における利用登録申請受付開始及び利用方法の変更について」・大阪市習い事・塾代助成事業「教室等検索」(2026年11月3日確認)

実質コスト計算の例

還元を踏まえた実質コストの計算例を、臨海セミナーの国立・私立中学受験コース(小6・Vクラス・算国理社)でA特待の認定を受けた場合で示します。

項目表面費用還元・割引実質コスト
月謝(年間)568,920円A特待で全額免除▲568,920円0円
季節講習費教室の案内額特待の対象外教室の案内額
志望校別特訓・直前期教室の案内額特待の対象外教室の案内額
模試・テスト代教室の案内額―教室の案内額
登録手数料・維持費・教材費別途―別途
年間合計568,920円+講習費など▲568,920円講習費・特訓講座費・模試代など

特待生の認定を受けると、授業料の年568,920円がまるごと減ります。ただし講習費・特訓講座は免除の対象外で、認定には成績基準があるため、家計設計では特待生にならない前提の費用で試算し、認定された場合の減免は予備費として扱うのが安全です。表面費用だけで塾を比較すると、こうした還元の差を見落とすことになります。

出典:臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」(特待生制度)(2026年11月3日確認)

書影:石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。

著者の書籍より

石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。

著者:石川 恵美

中学受験塾の還元評価でつまずく家庭は、「制度があれば使える」前提で家計試算をしてしまいます。特待生制度は成績基準があり、自治体助成は所得制限・居住要件があり、兄弟割引は同時在籍が条件です。本書では、確実な還元(兄弟割引・キャンペーン入塾金免除)と不確実な還元(特待生・自治体助成)を区別し、後者を予備費として扱う実質コスト試算の5原則を提示しています。

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家計適合:3年累積コストと中学進学後の教育費

中学受験の塾代を判断する最後の軸は「家計適合」です。文部科学省の私立小学校4〜6年生補助学習費を中学受験家庭の代理として採用すると、3年累積は約144万円、小3を含む4年累積は約170万円。これに対し、SAPIX小6月謝の年換算79.2万円は文科省の平均59.6万円を約20万円上回り、「還元主導」の構造が成立します。中学進学後には公立中で年間27.2万円、私立中で年間23.7万円の補助学習費が連続して発生し、6年累積で見ると家計が真に試されます。

石川メソッド3軸独自再集計表(中学受験家庭・5パターン)

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)の私立小学校学年別補助学習費(中学受験家庭の代理データ)と、大手中学受験塾の公開料金を組み合わせて、石川メソッド3軸で再集計した結果は以下の通りです。

表:石川メソッド3軸独自再集計表(中学受験家庭・5パターン)
学年・進路パターン①表面費用(年額)②実質コスト(年額)ギャップ(実質−表面)③家計適合(可処分所得比)累積負担(4年累積)
公立小学校4年生・中学受験(SAPIX想定)547,800円※1353,000円※2−194,800円(還元主導)5.4%1,697,000円※3
公立小学校5年生・中学受験(SAPIX想定)693,000円※1491,000円※2−202,000円(還元主導)7.5%1,697,000円※3
公立小学校6年生・中学受験(SAPIX想定)792,000円※1596,000円※2−196,000円(還元主導)9.0%1,697,000円※3
公立小学校6年生・中学受験(臨海セミナー Vクラス想定)568,920円※4596,000円※2+27,080円(隠れコスト主導)9.0%1,697,000円※3
公立小学校6年生・中学受験(早稲田アカデミー Sコース想定)693,600円※4596,000円※2−97,600円(還元主導)9.0%1,697,000円※3

※1 表面費用の根拠:SAPIX小学部「2026年度 授業料」(2026年11月3日確認)。月謝(税込)×12ヶ月で年換算。授業料にテスト費用・教材費を含む。特別講習・志望校別の講座の費用は別途必要。
※2 実質コストの根拠:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要(表5)の私立小学校学年別補助学習費を、中学受験家庭の代理データとして千円単位で採用(私立小4=353,000円、小5=491,000円、小6=596,000円)。
※3 累積負担の根拠:私立小3+小4+小5+小6の補助学習費(千円単位)の合計(257,000+353,000+491,000+596,000=1,697,000円)。小3〜小6の4年累積。
※4 表面費用の根拠:臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」(Vクラス 算国理社 47,410円×12)・早稲田アカデミー「小学6年生対象 Sコース 実施要項」(4科 54,900円×12+年会費2,900円×12)(2026年11月3日確認)。臨海セミナーの登録手数料・維持費・模擬試験代・講座費用・教材費、早稲田アカデミーの教材費・テスト代は含みません。
③家計適合の分母:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」統計表 第5表より、児童のいる世帯 平均可処分所得=6,588,000円(658.8万円)。(2026年11月3日確認)

表の読み方

この表が示すのは、SAPIXの月謝公開料金(表面費用)が、文科省統計の実支出(実質コスト)を小4〜小6の全学年で上回っている事実です。差額は小4で約19万円、小5で約20万円、小6で約20万円。一方、臨海セミナーのVクラス小6は月謝の年換算(568,920円)が文科省の平均(596,000円)を27,080円下回り、講習費などを加えると平均に近づく「隠れコスト主導」の位置です。「還元主導」の表記は、家庭が様々な還元(兄弟割引・特待生制度・入会金の免除・自治体助成)を活用し、また「全員参加とされる季節講習・特訓の一部をスキップする」等の調整で、表面費用から実支出ベースまで負担を下げている実態を示します。

家計適合の値は、児童のいる世帯の平均可処分所得658.8万円に対する実質コストの比率です。中学受験家庭の小6で9.0%は、石川メソッドの目安の「適正範囲(5〜10%)」の上限近くに位置します。これは塾費用単独の値であり、ここに小学校の学校費・習い事費・他子の費用を加えると、教育費全体の負担比率はさらに上がります。

年収帯別の家計適合度換算(補助テーブル)

メインテーブルは「児童のいる世帯 平均可処分所得=658.8万円」1値で算出していますが、家庭年収帯によって実感が異なります。代表値として「公立小学校6年生・中学受験(SAPIX想定) 実質コスト596,000円」を採用し、年収帯別の家計適合度を換算した補助テーブルは以下の通りです。

表:年収帯別の家計適合度換算(中学受験・小6代表値)
世帯年収帯可処分所得目安実質コスト負担率教育費総額負担率の参考目安※1
400万円未満約307万円19.4%(危険水域)約16.2%
400-600万円約384万円15.5%(危険水域)約11.0%
600-800万円約538万円11.1%(注意水域)約9.1%
800-1000万円約692万円8.6%(適正範囲)約7.4%
1000-1200万円約845万円7.1%(適正範囲)約7.6%
1200万円以上約922万円〜6.5%以下(適正範囲)約9.4%

※1 教育費総額負担率の計算根拠:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要の表10-2(補助学習費)と表10-3(その他の学校外活動費)の私立小学校の値の合計(学校外活動費)÷各年収帯の可処分所得目安。塾代以外の習い事等を含むため、塾代単独の負担率より高い場合が多い。
出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」統計表 第5表、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)より独自試算(2026年11月3日確認)。可処分所得目安は、児童のいる世帯の平均可処分所得÷平均所得(658.8万円÷857.3万円=76.8%)を各年収帯の代表値(400万円未満は400万円、1200万円以上は1200万円、それ以外は中央の値)に掛けた概算値。判定の目安(石川メソッド):5%未満=余裕あり、5-10%=適正範囲、10-15%=注意水域、15%超=危険水域。

3年累積と6年累積で見る教育費の規模

中学受験家庭の教育費は、通常授業料だけで小4〜小6の3年合計が1,217,040円(臨海セミナーVクラス)〜2,055,900円(四谷大塚 本科コース)で、ここに講習費や小学校の学校費・習い事費が加わります。さらに中学進学後の3年間で、文部科学省の学年別の学習費総額を合計すると、私立中学は4,671,589円、公立中学は1,626,133円です(いずれも塾代などの学校外活動費を含む)。

進路パターン小4〜小6の塾代(3年累積)中1〜中3の教育費(3年累積)6年累積
国立・私立中受験 → 公立中に進学1,217,040〜2,055,900円1,626,133円(公立中の学習費総額)2,843,173〜3,682,033円
国立・私立中受験 → 私立中に進学1,217,040〜2,055,900円4,671,589円(私立中の学習費総額)5,888,629〜6,727,489円
公立中高一貫校受検 → 公立中高一貫校に進学501,600〜686,400円1,626,133円(公立中の学習費総額で代用)2,127,733〜2,312,533円
中受せず → 公立中・塾通塾0円(中学受験塾なし)1,626,133円(公立中の学習費総額)1,626,133円

表の数値は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要の表2(学年別の学習費総額)と、臨海セミナー「国立・私立中学受験 授業料」・臨海セミナー「都立・公立中高一貫校受検 授業料」・四谷大塚「受講料」の公開料金から当サイトが計算した値です。小4〜小6の塾代は通常授業料だけ(国立・私立中受験は臨海セミナーVクラス〜四谷大塚 本科コース、公立中高一貫校受検は臨海セミナーの同コース)で、講習費・教材費・模試代などは含みません。(2026年11月3日確認)

世帯収入との比率で考える

家計適合の判断では、教育費を可処分所得に対する比率で見ます。石川メソッドの目安では、塾代の比率が5〜10%なら適正範囲、10〜15%は注意水域です。世帯年収700万円(可処分所得538万円程度)の家庭で、中学受験塾代を年間59.6万円(文科省の私立小6補助学習費)使うと、可処分所得に対する比率は約11%になります。

四谷大塚の小6の通常授業料に学校別対策コースなどを加えた約116万〜120万円で計算すると、同じ家庭で可処分所得の約22%になります。これに小学校の学校費・習い事費・子ども本人にかかる他の費用を加えると、教育費全体の比率はさらに上がります。

教育費比率が高い状態が複数年続くと、住宅費・老後資金・他の家計優先事項を圧迫します。特に中学受験家庭は、小6の負担に耐えた直後に、中学進学後の費用(私立中学費・大学進学準備の塾代)が連続するため、家計の長期持続性が試されます。

中学進学後の費用接続

中学受験を選択する家庭が見落としがちなのが、「中学受験が終わった後にも教育費は続く」という事実です。中学進学後の教育費は、進学先によって以下の3パターンに分かれます。

パターン①:私立中学進学(中学受験合格)

私立中学に進学した場合、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)によると、年間の学習費総額は1,560,359円(学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計)です。このうち塾などの補助学習費は年間23.7万円(同調査)が平均値です。学年別の学習費総額を3年分合計すると4,671,589円になります。進学先が中高一貫校の場合は学校のカリキュラムが先取り型で進むため、中高一貫校に在学する生徒の塾代は通塾の必要性そのものから判断が変わります。

パターン②:公立中学進学(中学受験不参加または失敗)

公立中学に進学した場合、年間の学習費総額は542,450円(同調査)が平均値です。授業料はかかりませんが、修学旅行費・通学費・部活動費等が発生します。さらに高校受験対策の塾代として、公立中学生の補助学習費は年間27.2万円が平均値で、中3になると39.0万円に達します。学年別の補助学習費を3年分合計すると812,035円です。学年別の内訳は中学生の塾代の月平均で詳しく整理しています。

パターン③:公立中高一貫校進学

公立中高一貫校に進学した場合、中学段階は公立中学と同じく授業料がかかりません。中学進学後も塾に通う場合は塾代が続き、中高一貫校の生徒の塾代は、学校のカリキュラムとの兼ね合いで判断が変わります。

中学進学後の教育費は中学3年間で終わるわけではなく、その先に大学受験対策の塾代が控えています。大学進学を見据える家庭は、大学受験の塾代ガイドで高校生時期の塾代レンジを把握し、中学受験〜大学受験までの累積教育費で家計適合を判断するのが現実的です。

4〜6年間の累積教育費を試算する

家計適合の観点では、中学受験を始める時点(小4)で、中学卒業(中3)までの6年間の累積教育費を試算しておくのが現実的です。試算項目には、塾代だけでなく、進路パターン別の中学進学後費用を含める必要があります。

1

小4〜小6の塾代を見積もる

志望する塾の年間費用×3年で算出。難関校志望なら個別指導・家庭教師の併用費も含める。

2

中学進学後の教育費を見積もる

志望校に合格した場合(私立中)と失敗した場合(公立中・公立中高一貫)の両方を試算。

3

他の家計優先事項とのトレードオフを確認

住宅費・老後資金・兄弟の教育費との両立可能性を検討。

4

世帯収入の中で持続可能か判定

可処分所得に対する教育費比率を計算し、適正範囲(5〜10%)に収まるか確認。注意水域(10〜15%)以上に超える場合は塾選び・志望校設定で調整。

兄弟同時通塾の累積負担

兄弟2人以上が中学受験を経験する家庭では、累積教育費はさらに膨らみます。3歳差の兄弟がそれぞれ中学受験する場合、上の子の小6と下の子の小4が重なる年は、SAPIXの月謝だけで年1,339,800円(小6 792,000円+小4 547,800円)になります。兄弟割引の有無や内容は塾によって異なり、累積負担は単独家庭のおよそ2倍規模になります。

兄弟構成のある家庭では、上の子の中学受験を始める時点で、下の子の中学受験まで含めた長期累積を試算しておくことが、家計適合の観点から重要です。

家計適合の判断は、塾を「払えるか」だけでなく「払い続けられるか」「他を犠牲にしすぎていないか」を含む総合判断です。中学受験塾代の3年累積に加えて、中学進学後の教育費・住宅費・他子の費用との両立可能性を確認することで、家計が長期持続する塾選びにつながります。

よくある質問

Q中学受験の塾費用は年間いくらですか?

中学受験の塾費用は、小6・4科目の通常授業料を年換算すると年21万円台から92万円台までの幅があります。臨海セミナー国立・私立中学受験コースの小6(Vクラス)が年568,920円(月47,410円)、早稲田アカデミーの小6 Sコースが年658,800円(月54,900円)、SAPIXの小6が年792,000円(月66,000円)、四谷大塚の本科コース小6が年927,300円(8月まで月67,650円・9月から月90,750円)です。これは通常授業料の年換算で、季節講習費・志望校別の講座費・模試費・教材費が別途加わります(SAPIXは教材費・テスト代を授業料に含む)。四谷大塚の小6では、学校別対策コース・合不合判定テスト・教材費を加えると約116万〜120万円になり、講習費はさらに別です。

Q中学受験の塾代は平均していくらですか?

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)では、中学受験家庭が多い私立小学校の補助学習費は、小4が年間35.3万円、小5が49.1万円、小6が59.6万円です。公開料金では、SAPIXの月謝を年換算すると小4=54.8万円、小5=69.3万円、小6=79.2万円、臨海セミナーの国立・私立中学受験コース(Vクラス・算国理社)は小4=26.4万円、小5=38.4万円、小6=56.9万円です。小4〜小6の通常授業料の3年合計は、臨海セミナーのVクラスで1,217,040円、SAPIXで2,032,800円で、ここに講習費・志望校別の講座費などが加わります。

Q中学受験塾で費用が比較的抑えられるのはどこですか?

小6・4科目の通常授業料を年換算して比べると、臨海セミナーの都立・公立中高一貫校受検コースが年211,200〜330,000円(月17,600〜27,500円・地域により異なる)、国立・私立中学受験コースが年568,920円(月47,410円)と、SAPIX・早稲田アカデミー・四谷大塚の小6より低い水準です。SAPIXの小6は年792,000円、早稲田アカデミーの小6 Sコースは年658,800円、四谷大塚の本科コース小6は年927,300円です。ただし志望校の種別と塾のカリキュラムの方向性が合っているかが前提になるため、費用の水準だけで塾を決める判断は避けてください。

Q中学受験のための個別指導の相場は?

中学受験対応の個別指導の料金は、講師・時間・週の回数で変わります。公開料金では、明光義塾の小6(東京都・神奈川県・90分授業)が週1回で月14,300円(年171,600円)、週2回で月26,400円(年316,800円)、臨海セレクトの「小5・小6 中学受験 4科強化パック」が月30,500円(年366,000円・別途教材費)です。プロ講師の個別指導や家庭教師は料金を公開していないことが多く、個別見積りが中心です。集団塾と併用する場合はその授業料がそのまま上乗せになり、たとえばSAPIX小6(年792,000円)に明光義塾の週2回を加えると年1,108,800円です。なお、個別指導塾の月謝が集団塾より高くなる理由・1対1料金の内訳については個別指導塾はなぜ高いのか・1対1料金の真実で構造的に解説しています。

Q中学受験は公立小学校でも対応できますか?

中学受験は公立小学校に通う家庭でも対応可能です。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)では公立小学校6年生の補助学習費が年間18.7万円とされていますが、これは中学受験をしない家庭も含む平均です。中学受験塾の小6の通常授業料は、臨海セミナーのVクラスで年568,920円、SAPIXで年792,000円です。公立小学校通学のメリットは、私立小学校の学校教育費(年間97.8万円)がかからない点で、その分を中学受験塾代に充てる家計設計が現実的です。

Q小4で塾代月3万円なら家計大丈夫?

小4で月3万円という数字だけで家計判断するのは危険です。SAPIXの公式公開料金で見ると、小4月謝45,650円→小6月謝66,000円と1.45倍に上昇します。年間で見ると、文科省統計ベースで小4=35.3万円→小6=59.6万円(1.69倍)に変わります。通常授業料の3年合計だけでも、臨海セミナーのVクラスで1,217,040円、SAPIXで2,032,800円になり、ここに講習費などが加わります。この負担を世帯収入の中で持続できるかが判断軸です。教育費比率(可処分所得に対する教育費の比率)が適正範囲(5〜10%)に収まるかを試算してから入塾を決めるのが、家計適合の観点から望ましい判断です。

Q中学受験塾の特待生制度は活用できますか?

中学受験塾の特待生制度は、多くの塾で入塾テストや模試の上位成績者に月謝減免を提供しています。たとえば臨海セミナーの中学受験コースのA特待は授業料が全額免除になりますが、小6では合不合判定テストの4科偏差値64以上などの基準があり、講習費・特訓講座は免除の対象外です。家計設計では「特待生になれない前提」で年間費用を試算し、実際に特待生になれた場合の減免は予備費として扱うのが安全な判断です。確実な還元(兄弟割引・入会金の免除)と不確実な還元(特待生・自治体助成)を区別して試算することが、誠実な実質コスト評価の原理です。

Q兄弟2人を中学受験させる場合の塾代は?

兄弟2人を中学受験させる場合の塾代は、単独家庭のおよそ2倍規模になります。3歳差の兄弟がそれぞれ中学受験する場合、上の子の小6と下の子の小4が重なる年は、SAPIXの月謝だけで年1,339,800円(小6 792,000円+小4 547,800円)です。これは世帯年収1000〜1200万円の可処分所得目安(約845万円)の約16%にあたります。兄弟割引の内容は塾によって異なり(臨海セレクトは下の子の月額授業料から2,000円引き、四谷大塚は兄弟の同時入会で入会金を免除)、兄弟構成のある家庭は、上の子の中学受験開始時点で、下の子の中学受験まで含めた6〜8年累積を試算しておくことが重要です。

まとめ:石川メソッドで中学受験塾を判断する

中学受験の塾代は、表面費用だけで判断すると失敗します。小6・4科目の通常授業料だけでも年21万円台から92万円台まで分かれる費用構造を、表面費用→実質コスト→家計適合の3軸で順に通すことで、3年累積+中学進学後を含む6年累積で家計が耐えうる塾選びにつながります。月謝の額面ではなく、年間総額・実質コスト・家計適合の3軸で判断することが、中学受験を完走するための家計設計の出発点です。

本記事の整理ポイント

本記事で整理した中学受験塾選びの判断軸を、5つに要約します。

1. 月平均だけで判断しない

文科省私立小4=35.3万円→小6=59.6万円の1.69倍上昇カーブ、SAPIX月謝45,650円→66,000円の1.45倍上昇カーブを理解する。年間総額・3年累積で塾を比較する。

2. 月謝以外の費用を網羅する

四谷大塚の小6では受講料が年間総額(講習費を除く約116万〜120万円)の約8割。季節講習・志望校別の講座・模試代・教材費を加算した実額を把握する。

3. 「事実上必須」の隠れコストを警戒する

合宿費・特訓費・個別指導併用費。入塾前に「事実上の参加率」を塾に確認しておく。

4. 還元を網羅して実質コストを下げる

特待生制度・兄弟割引・入会金の免除・自治体助成を網羅。確実な還元(兄弟割引等)と不確実な還元(特待生)を区別する。

5. 6年累積で家計適合を判定する

小4から中3までの6年累積教育費を試算。可処分所得の適正範囲(5〜10%)に収まるか確認。

3軸を順に通す判断フロー

石川メソッドの3軸を中学受験塾選びに適用すると、以下のフローになります。

1

軸1:表面費用 ── 各塾の年間総額を網羅する

候補塾の月謝・季節講習費・志望校別特訓費・模試代を、3年分すべて積算する。月謝だけで比較しない。

2

軸2:実質コスト ── 還元と隠れコストを加味する

各塾の還元(兄弟割引・特待生・キャンペーン・自治体助成等)を網羅し、隠れコスト(合宿・特訓必須度・個別併用)を引いた実質コストを算出する。

3

軸3:家計適合 ── 6年累積で持続可能か判定する

小4〜小6の塾代+中1〜中3の教育費を合算した6年累積で、世帯収入の中で持続可能か判定する。他子の費用・住宅費・老後資金との両立を確認する。

石川メソッドの詳細はこちら

本記事で適用した石川メソッド(表面費用×実質コスト×家計適合の3軸)の詳細解説、判断フロー全体像、典型的な5パターンの仮想ケースについては、石川メソッド完全解説の記事で体系的に整理しています。中学受験以外の塾選び(高校受験・大学受験・補習)にも適用できる汎用的なフレームワークです。

書影:石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。

著者の書籍より

石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。

著者:石川 恵美

中学受験は「単年で払えるか」ではなく「6年累積で耐えうるか」で判断する世界です。文科省統計の私立小学校学習費総額は平成24年度から令和5年度にかけて22.5%上昇し、家計に対する教育費比率は構造的に重くなっています。本書では、中学受験開始時に試算すべき教育費の長期視点と、進路パターン別の累積コスト試算フレームワークを提示。3歳差兄弟ケースの想定試算など、家計持続性を見極めるための実務的なシミュレーション手法も解説しています。

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石川 恵美

この記事を書いた人

石川 恵美

日本進学教育研究機構認定 教育費アドバイザー

教育費を専門領域とするファイナンシャル・プランナー。大手保険会社で10年間勤務後に独立。教育費相談を年間200件以上受ける中で、学習塾の費用構造に特化した分析を開始。著書『石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。』(Kindle、2026年5月刊)。