高校生の塾代はなぜ高い?月平均と個別指導の料金相場をFPが石川メソッド3軸で解説|公立高3年28.5万円

高校生の塾代はなぜ高い?月平均と個別指導の料金相場を石川メソッド3軸で判定する解説のインフォグラフィック|教育費アドバイザーの石川 恵美が解説

答え:高校生の塾代は、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立高校で月約1.7万円(年間補助学習費約201,000円)、私立高校で月約2.0万円(年間約238,000円)が目安です。ただし大学受験対策の本格化する高2・高3で大きく増え、公立高校では高3で年間285,000円(月平均約23,750円)まで上昇し、高1(月平均約11,667円)の約2倍に達します。「高校生の塾代は高い」と感じる感覚は構造的に正確で、表面費用ではなく実質コスト・家計適合で判定する必要があります。

高校生の塾代がいくらかかるかは、大学受験を視野に入れた家計設計の出発点になります。検索すれば「月平均いくら」という数字は出てきますが、その数字が自分の家庭にそのまま当てはまるとは限りません。公立か私立か、高1か高3か、集団指導か個別指導か予備校か、志望校が国公立か難関私大か。条件が変わるだけで、年間支払い額は数十万円単位で動きます。

本記事では、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)の最新統計と河合塾をはじめとする主要予備校の公開料金を起点に、高校生の塾代の月平均・学年別の変化・形態別の費用構造・「塾代が高い」と感じる構造的な理由までを、教育費アドバイザーの石川 恵美の視点で整理します。月謝だけでなく年間総額・実質コスト・家計適合の三軸で塾を比較するための独自再集計表も示し、大学受験を見据えた家計設計につなげます。

FP

石川 恵美からのひとこと

高校生のお子さんがいるご家庭の相談で多いのが「塾代が想定の倍になった」というものです。中学までと違って高校では大学受験を見据えた費用が一気に膨らみます。この記事では、文部科学省の最新値と主要予備校の公表料金を石川メソッドの三軸で独自に再集計し、家計が払い続けられる塾選びの判断軸を整理しました。

高校生の塾代は月平均いくらか(公的統計の最新値)

高校生の塾代の月平均は、公的統計の最新値で公立高校が月約1.7万円(年間補助学習費201,000円)、私立高校が月約2.0万円(年間238,000円)が一つの目安です。ただしこれは「補助学習費」(塾・家庭教師・通信教育・参考書等の合算)の平均値で、学習塾だけに通っている家庭の実支払い額とは性質が異なります。高校生は中学までと比べて、大学受験対策の比重で塾代が大きく動きます。

文部科学省「子供の学習費調査」が示す最新の月平均

高校生の塾代の月平均を語る上で最も信頼できる出典は、文部科学省が2年ごとに実施する「子供の学習費調査」です。最新の令和5年度調査(2026年1月16日訂正版公表)によれば、全日制高校に通う生徒1人あたりの年間「補助学習費」と「学校外活動費」は次の通りです。

区分 年間補助学習費 月平均換算 年間学校外活動費総額
公立高校(全日制) 201,000円 約16,750円 245,431円
私立高校(全日制) 238,000円 約19,833円 346,611円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果のポイント(令和8年1月16日差替版)/補助学習費は塾・家庭教師・通信教育・家庭での参考書等の合計。学校外活動費総額は補助学習費に習い事・スポーツ等の経費を加えたもの。(2026年11月3日確認)

中学生と比べると塾代は意外に下がる構造

公立中学校の補助学習費(年272,000円)と比べると、公立高校(年201,000円)の方が約71,000円少なくなっています。私立も同様で、中学(年237,000円)より高校(年238,000円)の方がほぼ同水準です。中学までは高校受験対策で塾通いが本格化していた家庭でも、高校に上がると一旦塾通いが落ち着き、高2・高3で大学受験対策として再び塾を頼る家庭が増えるパターンが多いことを反映しています。

ただしこの数字は平均値であり、実際の家庭ごとの分散は大きくなります。志望校レベルや通塾形態によって、家庭ごとの年間塾代は平均から大きく離れます。

中学生段階の塾代の月平均・学年別構造を確認したい場合は、中学生の塾代月平均ガイドを参照してください。中→高の連続性を踏まえた家計設計の出発点になります。

「補助学習費」と「学習塾費」の違い

統計を読むときに注意すべきは、「補助学習費」は学習塾費だけではないことです。子供の学習費調査における補助学習費の定義は、予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習をするために支出した経費の合計で、次の4項目が含まれます。

  • 家庭内学習費:参考書・問題集・学習机など家庭での学習に要する物品の購入費
  • 通信教育・家庭教師費:家庭教師の月謝、通信添削などの経費
  • 学習塾費:塾の入会金・授業料・講習会費・教材費・模試代・交通費
  • その他:図書館への交通費、公開模試代等

したがって、塾だけに通っている家庭の実支払い額は、補助学習費の平均より高くなる場合も、低くなる場合もあります。「塾に通うなら年間で公立高校生の補助学習費平均(201,000円)以上は見ておく」という感覚が、現実的な家計設計の出発点になります。

高校3年間で累積する塾関連費用

高校生の塾代を考えるときは、月平均・年額だけでなく、高校3年間の累積額で捉えることが家計設計上は重要です。子供の学習費調査の学年別データを3年間で積み上げると、次の規模になります。

区分 3年間の補助学習費累積 3年間の学習費総額(学校教育費含む)
公立高校 607,000円 約1,784,895円
私立高校 720,000円 約3,521,361円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要表2・表5・表6/補助学習費3年累積は学年別データ(公立高1=140,000円・高2=182,000円・高3=285,000円/私立高1=169,000円・高2=246,000円・高3=305,000円)の合算。学習費総額は授業料・施設費・通学費等の学校教育費を含むため、塾代以外の高校在学費用も含まれる。(2026年11月3日確認)

公立と私立で3年間の学習費総額は約174万円の差がつきますが、これは主に学校教育費(授業料・施設費)の差によるもので、補助学習費(塾代相当)の差は3年間で約113,000円程度に収まります。つまり「塾代だけ」を見ると公立と私立で大きな違いはなく、家計の主な負担差は学校教育費側にあると言えます。塾代は学校選択とは別軸で家計設計に組み込む必要があります。

世帯収入と地域で変わる塾代の水準

同調査では、世帯の年間収入別・市区町村の人口規模別の学校外活動費も公表されています。公立高校に通う家庭の世帯収入別の学校外活動費は次のような分布です。

世帯の年間収入 公立高校の学校外活動費(年額)
400万円未満180,000円
400〜599万円153,000円
600〜799万円238,000円
800〜999万円294,000円
1,000〜1,199万円360,000円
1,200万円以上395,000円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要表10-2・表10-3(合計)/世帯収入が高いほど学校外活動費の支出が増える傾向が確認されているが、公立高校では400-599万円帯で一旦下がる非線形の傾向がある。(2026年11月3日確認)

学年別に見る高校生の塾代(高1・高2・高3)

高校生の塾代は学年が上がるほど増加し、特に大学受験対策が本格化する高2・高3で大きく膨らみます。公立高校では高1で補助学習費140,000円、高2で182,000円、高3で285,000円と、高3は高1の約2.0倍に達します。受験学年での費用増を見越して、高1段階から家計設計を始めることが重要です。

公立高校・学年別の補助学習費

令和5年度子供の学習費調査によれば、公立高校(全日制)の補助学習費は学年ごとに次のように推移します。

学年 公立高校の補助学習費(年額) 月平均換算
高校1年生140,000円約11,667円
高校2年生182,000円約15,167円
高校3年生285,000円約23,750円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要表6/補助学習費は塾・家庭教師・通信教育・参考書等の合計。(2026年11月3日確認)

高3の補助学習費は高1の約2.0倍に増えますが、中学校(中1から中3で約2.3倍)と同程度の上昇率となります。高校では大学受験対策の本格化タイミングが家庭ごとに分かれるため、高1から本格的に塾に通い始める家庭、高2の夏から始める家庭、高3になってから始める家庭で費用パターンが大きく異なります。

私立高校の学年別データの読み方

私立高校に通う生徒の補助学習費は、公立より全体に高水準で、高1で169,000円、高2で246,000円、高3で305,000円と推移します。私立高校でも学年が上がるにつれて補助学習費が増加する傾向は公立と同様ですが、私立中高一貫校では学校内の進学指導・特進クラス・予備校提携プログラムなどで大学受験対策がカバーされる比率が公立より高い学校もあります。

高1の塾代が安く見える理由と落とし穴

高1の塾代が比較的少ないのは、まだ大学受験対策が本格化していない家庭が多いためです。ただしこれは「高1のうちは塾代は気にしなくていい」という意味ではありません。難関大志望の家庭では高1から塾通いを始めるケースが少なくなく、月謝以外に夏期講習・冬期講習・特別講座が積み上がるためです。

!高1からの塾通いでよくある誤算

● 月謝2万円の塾に通わせるつもりが、夏期講習で6万円、冬期講習で4万円、教材費・模試費で年間6万円が追加され、実際は年間40万円近くになる

● 高1の塾代に慣れてしまい、高3で費用が倍増したときに家計が対応できない

● 兄弟が中学生・大学生で並行通塾・在学していて、合計教育費が家計健全範囲を超える

● 部活動と両立する短期集中プランで始めたが、定期試験対策で結局通常授業も追加することに

高1の段階で「高3までにどこまで塾代が膨らむか」を見越して家計を組むことが、高3で慌てない塾選びの前提になります。文科省データに基づけば「高1の年間補助学習費140,000円が高3で285,000円(2.0倍)」になる伸び率を、家計準備の目安としてください。志望校レベルが上がるほどさらに上振れすると見ておきます。

塾形態別の月平均費用(集団・個別・予備校・家庭教師・オンライン)

高校生の塾代は通塾する形態によって大きく変わります。河合塾は150分講座1講座を1年間受講した場合の授業料が高1で178,880円、高3で281,750円(2026年度授業料一覧から計算)、個別指導は明光義塾(神奈川・90分授業)の週1回で高1 月18,700円〜高3 月20,900円、武田塾は料金表を公開しておらず、公式FAQで受験生(高校3年生・既卒生)の年間費用を60万円から120万円ほどと案内しています。それぞれの費用構造の違いを理解して、家庭の優先順位と志望校レベルと照らし合わせることが重要です。

形態別の費用構造と具体的な数値

高校生向けの主な塾・予備校の形態は、集団指導塾・個別指導塾・対面型予備校・映像授業型予備校・家庭教師・オンライン塾の6種類があります。高校生は中学までと違って「予備校」が主要な選択肢に加わるのが特徴です。データバンクの公開料金から、各形態の年間費用目安を整理します。

形態 代表的な業者・年間費用目安 料金構造の特徴
集団指導塾 臨海セミナー大学受験科 高1・高2 週1回1講座9,900円〜、高3 11,000円〜 月謝が最も抑えやすい。季節講習・教材費・模試費が別途発生する構造
対面型予備校(河合塾) 150分講座1講座を1年間受講した場合 高1 178,880円、高2 240,800円、高3 281,750円。高卒(浪人)の大学受験科はコースにより異なる 講座単位課金。150分1講座が高1・高2=6,880円・高3=8,050円。入塾金は高校グリーンコース33,000円・大学受験科70,000円。高校グリーンコースは塾生サポート料(2027年度は高1・2 月4,600円、高3 月7,250円)が別途
対面型予備校(駿台) 講座・コースごとに授業料が異なる(受講予定の講座で確かめる) 難関大対策の集団授業形式。志望校別講座・冠模試・特訓費の比重が大きい
映像授業型予備校(東進) 講座単位の受講料(受講講座数で変動) 受講講座数に応じた段階的料金。志望校別演習・模試がパッケージ化
個別指導塾 明光義塾(神奈川・90分授業)週1回 高1 月18,700円・高2 月19,800円・高3 月20,900円、週2回 高3 月37,840円 学年が上がると1コマ単価も上がる(明光義塾の週1回は中3 月18,700円→高3 月20,900円)。コマ追加で年間総額が膨らみやすい
武田塾(自学自習管理型) 料金表は非公開。公式FAQの目安は受験生で年間60万〜120万円ほど。夏期・冬期講習は実施しておらず季節講習費はかからない 「授業をしない」方針・参考書ルート管理型。市販参考書代が別途発生
家庭教師 事業者・講師で異なる(公開料金・見積もりで確かめる) 講師の経歴・指導形態で料金が変わる。教材費・管理費の有無も事業者で異なる
オンライン塾 スタディサプリ(高校・大学受験講座)ベーシックコース 月2,178円(12か月一括払いは月あたり1,815円) 月謝ベースでは最安レンジ。自宅学習の自己管理力が前提

出典:河合塾「2026年度 授業料一覧」(150分講座の授業料)/河合塾「高校グリーンコース 学費」(入塾金33,000円・2027年度の塾生サポート料)/河合塾「大学受験科 学費」(入塾金70,000円)/武田塾「よくある質問」/臨海セミナー「大学受験科 授業料」/明光義塾「授業料シミュレーション」(神奈川県)/スタディサプリ高校・大学受験講座「料金」。河合塾の150分講座の値は2026年度。駿台予備学校・東進ハイスクールは講座・コースごとの授業料のため年額の目安を載せていない(2026年11月3日確認)

高校の個別指導の料金はいくらが目安か

「高校の個別指導の料金は?」「高校生の個別塾の相場はいくらですか?」「高校生の個別指導塾の相場はいくらですか?」といった検索意図には、個別指導の高校生向け料金水準を知りたいニーズが反映されています。明光義塾(神奈川・90分授業)の公開授業料では、週1回の月額が高1 18,700円・高2 19,800円・高3 20,900円、週2回は高1 33,440円〜高3 37,840円です。集団指導の臨海セミナー大学受験科(週1回1講座 高1・高2 月9,900円〜、高3 月11,000円〜)と比べると、1か月あたりの授業料は高くなります。

出典:明光義塾「授業料シミュレーション」(神奈川県)/臨海セミナー「大学受験科 授業料」(2026年11月3日確認)

個別指導塾を高校生で利用する場合の費用感は、次の構造で整理できます。

  • 1対2形式:1人の講師が2人を指導するタイプ。1対1より1コマあたりの単価が抑えられる。金額は塾・学年で異なる
  • 1対1形式:1対2形式より1コマあたりの単価が高く設定される。難関大志望者や苦手科目集中対策で選ばれる
  • 大学受験特化型の個別指導:担任制・志望校別カリキュラム設計・自習室管理込みのプラン。月額単位の料金体系が多い。武田塾は料金表を公開しておらず、公式FAQが示す受験生の年間目安は60万〜120万円ほど

個別指導塾の料金構造の詳細については個別指導塾の料金相場・全学年まとめ、なぜ個別指導が高くなるかの理由については個別指導塾はなぜ高いのか・1対1料金の真実で深掘りしています。

形態を組み合わせる選択

実際の高校生の家庭で多いのは、複数形態を組み合わせる選択です。「英・数だけ個別指導、他は映像授業」「平日は予備校の通常授業、週末は個別指導で苦手対策」「高1〜高2は映像授業中心、高3で対面予備校に移行」など、科目・受験フェーズに応じて形態を切り替える運用は、表面費用を抑えつつ実質的な学習効果を確保する現実的な戦略になります。

形態比較の総合的な視点は、個別 vs 集団 vs 家庭教師の費用比較で詳しく整理しています。

臨海セミナー大学受験科の費用構造

臨海セミナーは関東圏(神奈川・東京・埼玉・千葉)と関西圏を中心に展開する大手集団指導塾で、高校部「臨海セミナー大学受験科」が大学受験対策に対応しています。公式公開料金は高1・高2 週1回1講座9,900円〜、高3 週1回1講座11,000円〜と、月謝の入り口を抑えやすい設計です。月謝に対する付帯費用(教材費・模試費・季節講習費)が公式サイトで明示されており、年間総額の見通しが立てやすい構造になっています。

臨海セミナー大学受験科の公開料金(2026年度)

臨海セミナー公式サイトで公表されている大学受験科の月謝は次の通りです。

学年 コース 月謝(税込)
高校1年生週1回1講座9,900円〜
高校2年生週1回1講座9,900円〜
高校3年生週1回1講座11,000円〜

出典:臨海セミナー「2026年度 大学受験科 授業料」(公式サイト・2026年11月3日確認)/自治体助成:臨海セミナー「臨海で対応が可能な自治体助成制度一覧」(大学受験科で使えるかは制度ごとに要確認)/追加費用:教材費・模擬試験代・維持費・登録手数料が別途発生。

カリキュラムと費用設計の特徴

カリキュラムは国公立大・私立大の幅広い志望校に対応しており、難関大志望から中堅大志望まで段階的なクラス編成を持ちます。集団授業を中心としつつ、苦手科目には個別フォロー・自習室での質問対応などのサポートが組まれます。

費用構造の特徴は、月謝の入り口が9,900円〜(高1・高2)と他の大手予備校と比べて抑えられていることです。河合塾の高1が150分講座1講座を1年間受講した場合の授業料178,880円(2026年度)と比較すると、臨海セミナーは週1回1講座構成で年間118,800円(月9,900円×12か月)から組める設計で、複数講座を組み合わせる場合でも段階的に費用を積み上げる選択ができます。さらに、対応可能な自治体助成制度の一覧を公式サイトで公開している点も、家計適合の観点で還元を確かめやすい設計です。

大学受験以外のコースとの連続性

臨海セミナーは中学部(高校受験対策)・小学部(中学受験準備)も同一ブランドで展開し、同じグループに個別指導の臨海セレクトもあるため、中学から高校・大学受験まで、同じグループの中で集団と個別を組み替えながら通い続けられます。継続生や兄弟の割引の有無と条件は大学受験科の授業料ページには載っていないため、家計の中期視点で塾代を組む場合は、入塾前に教室で確認しておくと安心です。

臨海セミナー大学受験科を選ぶ判断軸

臨海セミナー大学受験科の費用構造の利点は、月謝の入り口を抑えやすい段階的な料金設計と、対応可能な自治体助成制度の一覧を公式サイトで公開していること(大学受験科で使えるかは制度ごとに確認が必要)、そして同じグループの中で集団と個別(臨海セレクト)を組み合わせられることです。入塾前に「自分の希望講座数での年間総額(教材費・模擬試験代・維持費・登録手数料・必須参加の季節講習費を含めて)」「住んでいる自治体の助成制度が大学受験科で使えるか」「兄弟割引・継続割引の有無と適用条件」を直接質問することで、表面費用と実質コストの差を見抜きやすくなります。

主要予備校・大学受験塾の費用構造

高校生の大学受験対策に対応する主要予備校・大学受験塾は、業者ごとに費用設計と対象生徒層が異なります。河合塾・駿台は難関大受験対策の対面型予備校、東進は映像授業型予備校の最大手、早稲田アカデミーは難関私立・国公立大特化、武田塾は授業をしない自学自習管理型と、それぞれ異なるニッチを持っています。月謝の額面ではなく、志望校レベルと費用構造の整合性で塾を選ぶことが重要です。

河合塾

河合塾は大手対面型予備校の代表格で、難関大受験対策で長年の実績を持ちます。費用構造の特徴は、講座単位の課金体系を採用しているため、受講する講座の数で年間総額が大きく変動することです。2026年度の授業料は150分講座1講あたり高1・高2=6,880円・高3=8,050円で、1講座を1年間受講すると(高1は1学期・2学期の26講、高2・高3はスタート学期を含む35講)高1が178,880円、高2が240,800円、高3が281,750円になります。高卒(浪人)の大学受験科は、入塾金70,000円にコースごとの授業料が加わります。基本講座・志望校別講座・分野別講座・直前期講座など、受験戦略に応じた組み合わせを選択しますが、講座数を増やすほど費用が積み上がる構造です。授業料とは別に塾生サポート料(模試等を含む。2027年度は高1・2生 月4,600円、高3生 月7,250円)と講習の受講料がかかり、難関大志望で複数科目を本格対策する場合は年間総額が高水準になります。

駿台予備学校

駿台予備学校は河合塾と並ぶ大手対面型予備校で、特に理系難関大・医学部受験で実績があります。費用構造は河合塾と類似の講座単位課金で、具体的な料金体系は公式サイトでは一律公開されておらず、教室カウンセリングで個別に提示される運用です。

東進ハイスクール

東進ハイスクールは映像授業型予備校の最大手で、有名講師の録画講義を全国の校舎で受講できる仕組みを持ちます。費用構造は受講講座数に応じた段階的な料金体系です。担任講師による進路指導・高速学習用のITツール・志望校別演習・模試がパッケージ化されており、講座を多く取るほど年間総額が増えます。一方で校舎での質問対応・自習室利用は通塾型と同様の機能を持つため、自宅学習が苦手な家庭にも対応しやすい設計です。

早稲田アカデミー大学受験部門(サクセス18)

早稲田アカデミーは難関私立大・国公立大受験に特化した集団指導塾で、対象生徒層は早慶・MARCH・難関国公立大などの難関校受験者です。費用構造は難関大対策のクラス編成・特訓講座があり、月謝に加えて特訓費・合宿費・模試費がかかる場合があります。難関大志望でない家庭にとっては費用対効果が見合いにくい場合もあるため、志望校レベルとカリキュラムの整合性を確認することが前提になります。

武田塾

武田塾は「授業をしない」を方針とする参考書ルート型の指導塾で、個別カリキュラム設計と自学自習の徹底管理を特徴とします。料金表は公開されておらず、公式FAQでは受験生(高校3年生・既卒生)の場合で年間60万円から120万円ほどと案内しています。夏期講習・冬期講習は実施していないため季節講習費はかかりませんが、指導に使う参考書は各自で購入し、受験学年は指定模試の受験費用も発生します。自学自習を継続できる生徒に向いており、講師による解説型授業を求める生徒には合わないという指導スタイル上の前提があります。オンライン特化校舎・対面校舎の選択も可能です。

主要予備校・大学受験塾を比較する視点

主要予備校・大学受験塾は業者ごとに月謝・講座費・教材費・模試費・特待生制度の比重が異なるため、月謝の額面だけを並べた比較は実態に合わない。入塾前に各塾の説明会で「年間総額の中央値」「志望校別講座の追加課金構造」「特待生制度の合格基準」を直接質問することで、表面費用と実質コストの差を見抜くことができます。具体的な料金は塾ごとに更新されるため、最新情報は各塾の公式案内で確認してください。

高校生の塾代はなぜ高いのか

「高校生の塾代は高い」と感じる感覚は、家計の実感としては正確です。中学までの集団指導中心から、高校では個別指導・対面型予備校・映像授業など費用水準の高い形態への移行が進み、加えて志望校別講座・特訓・模試費が大学受験対策として積み上がります。月謝の額面だけでなく、構造的に費用が膨らむ要因を理解することで、家計適合した塾選びの判断軸が見えてきます。

「高校生 塾代 高い」と検索する保護者が抱える実感

「高校生 塾代 高い」と検索する保護者の多くは、すでに塾通いを始めた高校生の保護者か、これから塾通いを検討している家庭です。中学までと同じ感覚で塾を選んだら想定の倍近い年間費用になった、あるいは塾の説明会で提示された見積もりが家計に対して負担が大きすぎると感じた、といった切実な実感が背景にあります。

結論から言うと、高校生の塾代は構造的に中学までより高くなりやすい設計になっています。これは塾側が意図的に高くしているのではなく、大学受験対策に必要な指導内容・講師レベル・演習量が中学までと質的に異なるためです。

高校生の塾代が高くなる5つの構造的理由

高校生の塾代が中学までより高水準になる背景には、複数の費用要因が重なる構造があります。これらは塾選びの段階で把握しておくべき要素です。

01

科目別の個別対応比重が高まる

高校では文系・理系の選択・志望校・苦手科目の組み合わせが多様化し、集団授業だけでは対応しきれない場面が増える。結果として個別指導・単科講座の追加が必要になり、表面費用が上がる。

02

講師に求められる学力レベルが高い

難関大入試レベルの数学・理科・英語を指導するには大学院レベル以上の専門性が求められる。講師の確保コストが上がるため、1コマあたりの単価が中学までより高く設定される。

03

志望校別の特化カリキュラムが必要

国公立・私立・医学部・総合型選抜など志望校タイプごとに対策が異なる。通常授業に加えて志望校別講座・単科講座・過去問演習講座が積み上がり、講座費用の累積が大きい。

04

模試の比重と頻度が増える

大学受験では志望校判定のために月1回ペースで複数の模試を受ける家庭が多い。塾内模試・全国模試・志望校別模試・冠模試など、年間の模試代も積み上がる。

05

通塾期間の総量が長くなる傾向

難関大志望者は高1から、一般志望でも高2の夏から塾通いを始める家庭が多く、通塾期間が18ヶ月〜30ヶ月に及ぶ。累積額で見ると中学までより明らかに大きい。

「高い」を「家計適合できるか」の問いに変換する

「高校生の塾代は高い」という実感は正確ですが、そこで止まると塾選びの判断ができなくなります。家計設計の観点では、「高い」という認識を「自分の家計でこの塾代を払い続けられるか」「他のライフイベント費用と両立できるか」という問いに変換することが必要です。

同じ年間40万円の塾代でも、年収400万円の家庭と年収1,000万円の家庭では家計に占める比率が異なります。住宅ローン残高・老後資金の積立状況・兄弟の教育費との並行負担によっても、許容できる塾代の水準は変わります。塾代の絶対額ではなく、家計全体での適合度合いを見るのが、家計設計上の正しい判定方法です。

「高い」を判断する3つの軸

塾代が「高い」かどうかは絶対額ではなく以下の3軸で判定する:①表面費用(公表されている費用の年間総額を網羅できているか)/②実質コスト(特待生制度・兄弟割引などの還元を差し引き、隠れコストを加えた実負担額になっているか)/③家計適合(その実質コストを通塾期間全体で家計が払い続けられるか)。この3軸を通すフレームワークが石川メソッドです。

塾費用判断の3軸フレームワーク全体については石川メソッド完全解説|表面費用×実質コスト×家計適合の三軸で塾費用を判定するで詳しく解説しています。次のH2-7から、3軸を1つずつ高校生の塾代に当てはめて見ていきます。

高校生の塾代を「表面費用」で正しく把握する

高校生の塾代を正しく比較するには、月謝だけでなく塾が公表するすべての費用項目を網羅して年間総額に換算する「表面費用の網羅」が出発点になります。月謝・入塾金・教材費・施設利用料・季節講習費・模試費・志望校別講座費・特訓費までを年間ベースで揃えることで、初めて他塾との比較が可能になります。

高校生の塾費用を構成する項目一覧

塾・予備校が公表する費用の項目を、高校生の通塾を前提に整理します。これらを年間ベースで合計したものが「表面費用」になります。中学までと比べて志望校別講座・特訓費・模試費の比重が大きいのが高校生の特徴です。

  • 月謝(基本授業料):通常授業の月額費用。学年・科目数・受講形態で変動する
  • 入塾金:入塾時に1回だけ発生する初期費用。河合塾は高校グリーンコース33,000円・大学受験科70,000円(いずれも免除制度あり)
  • 教材費:テキスト・問題集・年間教材セット。学期ごとあるいは年度初めに発生
  • 施設利用料・管理費:自習室・冷暖房・事務管理・映像授業ブース利用料などの月額固定費
  • 季節講習費:夏期・冬期・春期講習の各受講料。高3では特に比重が大きい
  • 模試費:塾内模試・全国模試・志望校別模試の年間総額。高3では月1回ペースの受験が一般的
  • 志望校別講座費:難関大・医学部・志望校特化講座など通常授業とは別枠の有料講座
  • 特訓費・合宿費:夏期・直前期の集中特訓・宿泊型合宿の参加費
  • 付帯費用:単科講座費・分野別講座費・過去問演習講座費など

表面費用の網羅で見落としやすいポイント

塾選びの相談で頻繁に見られる失敗は、月謝以外の項目を年間総額に算入し忘れることです。特に以下の3点は高校生で見落とされやすく、入塾後に「想定より高い」と気づく原因になります。

01

志望校別講座を「別枠」と捉える誤認

高校生の塾では通常授業とは別に、志望校別の対策講座・過去問演習講座が秋以降に追加される。これらは通常の月謝に含まれず別途課金されるため、年間費用を計算する際は事前に発生する講座をすべて積み上げる必要がある。

02

講座単位課金の積み上げを見落とす

予備校系は講座単位の課金体系を採用していることが多く、受講する講座数で年間総額が大きく変わる。「必須」とされる講座と「希望制」の講座を区別し、希望制も実際に受講するかを見積もり段階で確定させる。

03

直前期特訓・正月特訓の費用

高3の12月〜1月に集中的に組まれる直前期特訓・正月特訓は、通常授業とは別枠の費用が発生する。参加が前提の運用もあるため、入塾前に金額を確かめて計算に入れる。

年間化と比較可能化の原理

表面費用を正しく把握するには、項目を網羅した上で、年間ベースに換算し、他塾と比較可能な条件で揃えることが必要です。FPの実務で繰り返し用いられる原理を、塾費用に特化して整理します。

表面費用の3原理

網羅性原理:公表されている費用項目を漏れなく洗い出す/年間化原理:月単位の費用を年間に換算し、不定期費用も加算する/比較可能化原理:異なる塾を比較する際、学年・科目数・通塾日数・受講講座数を揃える。この3つを順に適用することで、初めて表面費用が判断材料として機能する。

表面費用の網羅は、塾選びにおける費用判断の出発点です。これが歪んでいると、続く実質コスト・家計適合の判定も全体として歪んでしまいます。

表面費用・実質コスト・家計適合の三軸で判定する

高校生の塾代を判断するには、表面費用(公表料金の年間合算)だけでなく、実質コスト(実際に家庭が支出する金額)と家計適合(可処分所得に対する負担比率)の三軸で立体的に見る必要があります。本記事独自の再集計表で、公立高校・私立高校の高1〜高3を6パターンに分け、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」と河合塾公開料金を石川メソッド三軸で独自加工した数値を示します。

石川メソッド3軸独自再集計表(高校生6パターン)

以下は文部科学省の最新統計と河合塾の公開料金を、石川メソッドの三軸(表面費用×実質コスト×家計適合)で独自に再集計した結果です。本テーブルはモバイル端末では横スクロールで全体を確認できます。

表:石川メソッド3軸独自再集計表(高校生6パターン)
学年・進路パターン ①表面費用(年額) ②実質コスト(年額) ギャップ(実質−表面) ③家計適合(可処分所得比) 累積負担
公立高校1年生 178,880円※1 140,000円 −38,880円(還元主導) 2.1% 607,000円(3年累積)※2
公立高校2年生 240,800円※7 182,000円 −58,800円(還元主導) 2.8% 467,000円(2年累積)※3
公立高校3年生・国公立大志望 281,750円※4 285,000円 +3,250円(拮抗) 4.3% 467,000円(2年累積)※3
私立高校1年生 178,880円※1 169,000円 −9,880円(拮抗) 2.6% 720,000円(3年累積)※5
私立高校2年生 240,800円※7 246,000円 +5,200円(拮抗) 3.7% 551,000円(2年累積)※6
私立高校3年生・私立大志望 281,750円※4 305,000円 +23,250円(隠れコスト主導) 4.6% 551,000円(2年累積)※6

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版)、河合塾「2026年度授業料一覧」(2026年10月12日確認/150分講座1講座を1年間受講した場合の授業料 高1 178,880円、高2 240,800円、高3 281,750円)、厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」統計表 第5表(児童のいる世帯 平均可処分所得 658.8万円)より石川メソッド3軸で独自再集計。
※1:河合塾グリーンコース 高1の150分講座1講座(1学期・2学期 各13講×6,880円)=178,880円を表面費用の基準として採用
※2:文科省 公立高1(140,000円)+高2(182,000円)+高3(285,000円)=607,000円(学年別補助学習費の和・実態反映性優先)
※3:文科省 公立高2(182,000円)+高3(285,000円)=467,000円(高2スタート想定)
※4:河合塾グリーンコース 高3の150分講座1講座(スタート学期9講+1学期13講+2学期13講×8,050円)=281,750円を表面費用の基準として採用
※5:文科省 私立高1(169,000円)+高2(246,000円)+高3(305,000円)=720,000円
※6:文科省 私立高2(246,000円)+高3(305,000円)=551,000円(高2スタート想定)
※7:河合塾グリーンコース 高2の150分講座1講座(スタート学期9講+1学期13講+2学期13講×6,880円)=240,800円を表面費用の基準として採用。※1・※4・※7とも、塾生サポート料・入塾金・講習受講料は含まない。

テーブルから読み取れる3つの構造

本テーブルから3つの重要な構造が読み取れます。

第一に、高1・高2では還元主導か拮抗だったギャップが、高3で拮抗に近づき、私立高3では隠れコスト主導に転換する構造が見えます。公立高1は河合塾の150分講座1講座の授業料178,880円に対し全国平均の実支出は140,000円で約3.9万円の還元主導、公立高3になると全国平均実支出が285,000円に膨らんで河合塾281,750円とほぼ並び、私立高3では305,000円と+2.3万円の隠れコスト主導に転換します。これは高2・高3で志望校別講座・特訓費・冠模試などが上積みされる構造を、全国平均の費用負担と公開授業料の差として示したものです。

第二に、家計適合カラム(可処分所得比)で見ると、私立高3・私立大志望の4.6%が高校生段階の最高水準です。これは厚労省「2025年国民生活基礎調査」の「児童のいる世帯 平均可処分所得 658.8万円」を分母にした値で、FP実務の判定基準では「5%未満は余裕の範囲、5〜10%は適正範囲」に該当します。高校生の塾代単独では中学生(公立中3で5.9%)より家計負担比率が抑えめですが、これは大学進学後の費用との連続性を考えると評価が変わります(H2-9で詳述)。

第三に、3年累積で公立高校(607,000円)が私立高校(720,000円)を下回る逆転構造が確認できます。これは中学生(公立中3年累計811,000円>私立中3年累計711,000円)とは逆のパターンで、高校段階では私立校生(中高一貫含む)の方が大学受験対策の塾通いが累積で大きくなる傾向を示しています。私立中学からの内部進学者は中学段階で塾通いを抑えた分、高校段階の塾代が積み上がる構造です。

年収帯別の家計適合度換算(公立高3代表値)

上記の3軸表は「児童のいる世帯 平均可処分所得 658.8万円」(2025年調査)を分母にした全国平均値ですが、家庭の年収帯によって家計適合の実感は大きく異なります。公立高3の実質コスト285,000円を代表値として、年収帯別の負担率を換算した補助テーブルを示します。

表:年収帯別の家計適合度換算(公立高校3年生・国公立大志望・代表値)
世帯年収帯 可処分所得目安 実質コスト負担率 学校外活動費負担率(参考)
400万円未満約307万円9.3%5.9%
400-600万円約384万円7.4%4.0%
600-800万円約538万円5.3%4.4%
800-1,000万円約692万円4.1%4.3%
1,000-1,200万円約845万円3.4%4.3%
1,200万円以上約922万円〜3.1%4.3%

出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」統計表 第5表、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」調査結果の概要表6・表10-2・表10-3(2026年1月16日訂正版)より独自試算(2026年11月3日確認)。可処分所得目安は、各年収帯の中央値(400万円未満は400万円、1,200万円以上は1,200万円)に、同調査の児童のいる世帯の平均可処分所得÷平均所得(658.8万円÷857.3万円≒76.8%)を掛けた概算値。実質コスト負担率は公立高3の補助学習費285,000円÷各可処分所得目安で算出。学校外活動費負担率は塾費用以外の習い事等を含む参考目安で、文科省「世帯年収別 公立高校の学校外活動費」÷各可処分所得目安で算出。

この補助テーブルから読み取れる重要な事実は、世帯年収400万円未満の家庭にとって公立高3の塾代は可処分所得の9.3%に達し、FP実務の判定基準では「適正範囲の上限近辺」に入るということです。同じ285,000円という年間塾代でも、1,200万円以上世帯にとっては可処分所得の3.1%に過ぎませんが、400万円未満世帯にとっては大学進学後の費用と合わせて家計を圧迫する水準になりかねません。塾代の家計適合は「金額」ではなく「比率」で判定する原則の根拠がここにあります。

書影:石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。

📖 実質コストの構造を体系化する

石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。

著:石川 恵美/日本進学教育研究機構 塾選びシリーズ 第1巻

本記事の3軸表で示した「高3で実質コストが表面費用に追いつき、私立高3で上回る」構造のメカニズムを、より体系的に理解するための原理を解説。隠れコスト主導/還元主導の見極め方、家計適合判定のFP理論的根拠、高校3年間と大学4年間を貫いた長期累積コストの試算方法を、実例とともに整理しています。「高校生の塾代はなぜ高い」を構造で理解したい方に。

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大学受験を見据えた高校生の家計設計

高校生の塾代は、大学受験という3年後のゴールから逆算した家計設計の中で位置づけることが重要です。塾代だけでなく大学入学後の学費・一人暮らし費用・他子の教育費との並行負担まで含めて、通塾期間全体での持続可能性を判定するのが「家計適合」軸の役割です。表面費用と実質コストを通過した塾でも、家計適合の判定で再検討が必要になることがあります。

家計適合で判定する5つの観点

家計適合は「払えるか」だけでなく「持続的に払い続けられるか」「他を犠牲にしすぎていないか」を含む総合判断です。高校生の塾代では、特に大学進学後の費用との連続性を視野に入れた判定が重要になります。

  • 世帯年収に対する教育費全体の比率が健全範囲に収まっているか
  • 高校在学中の塾代と大学進学後の費用を合算した中期的負担が見えているか
  • 兄弟姉妹の現在および将来の教育費との両立が成立しているか
  • 住宅費・老後資金・親の介護等のライフイベント費用との関係が整理されているか
  • 急な収入減少時の対応余地(半年〜1年程度の継続可能性)があるか

大学進学後の費用と塾代の連続性

高校生の塾代を判断するときに見落とされやすいのが、大学進学後の費用との連続性です。塾代を払い切って志望大学に合格しても、その後の大学学費・一人暮らし費用が家計に重くのしかかるケースがあります。高校3年間の塾代と大学4年間の学費・生活費を一体で家計シミュレーションすることが、本来の家計適合判定の姿です。

01

国公立大学進学の場合

入学料・授業料は大学の公表額で4年分を確かめる。自宅外通学の場合は住居費・生活費も加わる。高校時の塾代と合わせて高2の段階から準備が必要。

02

私立大学進学の場合

学部により学費差が大きく、理系・医歯系は文系より高くなる。志望校・学部の公表額で確かめる。高校時の塾代と合わせて、トータルの教育費を逆算した塾代上限を決める設計が必要。

03

奨学金・教育ローンとの組み合わせ

高校時の塾代を家計から支出し、大学費用を奨学金・教育ローンで補う設計もある。日本政策金融公庫「国の教育ローン」や、日本学生支援機構の貸与型奨学金(第二種)などの選択肢がある。返済負担を子ども・保護者のどちらが担うかも含めて、進学前に家族で話し合う。

家計適合を判定する5原理

FPの実務で繰り返し用いられる原理を、高校生の塾代判断に特化して整理したものです。これらを順に確認することで、表面の支払い可能性ではなく「持続可能性」に焦点を絞った判定ができます。

01

長期視点原理

高校3年間と大学4年間の累積負担を計算する。単年の額ではなく、卒塾・卒業までの総額で判定する。

02

比率原理

世帯収入に対する教育費全体の比率を健全範囲に収める。家計診断の標準的なベンチマークと照合する。

03

トレードオフ原理

塾費用を増やすことで他の何が削られるかを明確に把握する。住宅・老後・他子の機会との優先順位を整理する。

04

持続可能性原理

中途で支払い困難になる選択は最初からしない。高3直前期に塾を切る判断は子どもへの精神的影響が大きい。

05

平等性原理

一人の子の教育費が他の子の機会を不当に削らないようにする。複数子家庭では特に重要な視点。

06

FP理論との接続

キャッシュフロー表・ライフイベント表・家計バランスシートの標準手法を、高校生の塾代と大学費用に特化して適用する。

高1・高2の段階で行う家計準備

高3で塾代が急増する前提を、高1・高2の段階から家計に組み込むことで、受験学年での費用増に慌てずに済みます。具体的には次のアプローチが現実的です。

準備1

高3の年間塾代を高1段階で試算する

子どもが通う予定の塾の高3の年間総額(季節講習費・志望校別講座費・特訓費・模試費含む)を、高1の塾選びの段階で塾側に質問しておきます。「高3に上がったらいくらになるか」を入塾前に把握しておくことで、高1・高2の家計に組み込める準備期間が確保できます。

準備2

大学進学費用を含めた中期家計シミュレーションを作る

高校3年間の塾代と大学4年間の学費・生活費を合算した「教育費総額」を、子どもの志望校レベル別に試算します。国公立進学パターン・私立進学パターン・自宅通学・自宅外通学の組み合わせで、家計が成り立つかをシミュレーションしておきます。

準備3

特待生制度・奨学金・教育ローンの早期確認

塾の特待生制度の合格基準を高1の段階で把握しておけば、高2・高3で対象になれるよう日々の学習成果を意識的に積み上げられます。大学側の特待生制度・奨学金・日本学生支援機構の各種奨学金も、進学前の早い段階で要件を確認しておきます。

大学受験本番(高3の12月〜2月)にかかる受験料・入学金前納分などの具体的な費用構造については、大学受験の塾代ガイドで詳しく扱っています。高3の夏期講習費用の構造については夏期講習の費用相場・小中高まとめを参照してください。

よくある質問

高校生の塾代について、家計相談の現場で繰り返し受ける質問とその回答です。月平均の数字の見方・形態別の費用差・大学受験対策での費用増への備えなど、塾選びの判断に直結する疑問に答えます。

Q. 高校生の塾代は月平均いくらですか?

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日訂正版公表)によれば、高校生(全日制)1人あたりの年間補助学習費は、公立高校で201,000円(月平均約16,750円)、私立高校で238,000円(月平均約19,833円)です。ただしこの数字は塾・家庭教師・通信教育・参考書を含めた合計平均であり、塾だけに通っている家庭の実支払い額とは異なります。また学年・志望校レベル・形態で大きく変動するため、特に高3で塾通いが本格化する家庭では月平均の2倍以上になることも珍しくありません。

Q. 高校生が塾に通う場合、平均して月いくらかかりますか?

高校生で塾に通っている家庭の実支払い額は、形態・志望校レベル・学年によって大きく異なります。河合塾は150分講座1講座を1年間受講した場合の授業料が高1で178,880円、高3で281,750円(月平均約23,480円、2026年度)、武田塾は受験生で年間60万〜120万円ほどが公式FAQの目安です。これは授業料・基本料金の目安で、季節講習・志望校別講座・模試費・塾生サポート料などを加えると年間総額はさらに大きくなります。塾選びの段階で「年間総額の見込み」を塾側に算出してもらうことが、月謝の額面に惑わされない判断の出発点になります。

Q. 高校の個別指導の料金はいくらが目安ですか?

明光義塾(神奈川・90分授業)の公開授業料では、高校生の週1回の月額は高1 18,700円・高2 19,800円・高3 20,900円で、中3(18,700円)以上に設定されています。大学受験を見据えた応用・演習レベルの指導になるため、学年が上がるほど1コマあたりの単価が上がる料金体系が見られます。1対1・1対2などの形式や塾ごとに料金体系が異なるため、月額換算で複数の塾を比較することが必要です。詳細は個別指導塾の料金相場・全学年まとめ、および個別指導塾はなぜ高いのか・1対1料金の真実の各記事で深掘りしています。

Q. 高校生の個別塾の相場はいくらですか?

高校生の個別塾の料金水準は、明光義塾(神奈川・90分授業)の公開授業料で週1回 月18,700円(高1)〜20,900円(高3)、週2回 月33,440円(高1)〜37,840円(高3)です。12か月通うと週1回で年間約22万〜25万円、週2回で約40万〜45万円が授業料だけでかかり、諸経費・教材費・講習費は別になります。武田塾の自学自習管理型は料金表が非公開で、公式FAQでは受験生の年間目安を60万〜120万円ほどとしています。志望校レベル・苦手科目の数・通塾頻度で大きく変動するため、見積もりを取って比較することが重要です。

Q. 高校生の個別指導塾の相場はいくらですか?

高校生の個別指導塾の年間総額は、受講回数と講習の取り方で大きく変わります。月謝の額面だけでなく、季節講習・志望校別講座・特訓費・模試費を含めた年間総額で比較することが重要です。明光義塾(神奈川・90分授業)の高3は週2回で月37,840円、12か月で授業料だけで454,080円です。武田塾は受験生で年間60万〜120万円ほどが公式FAQの目安、河合塾大学受験科(浪人)は入塾金70,000円にコース別の授業料が加わります。個別指導と対面予備校を組み合わせる場合は、それぞれの年間総額を足して判断します。実質コストでは特待生制度・兄弟割引などの還元込みで判定する必要があります。

Q. 高校生の塾代が高いと感じます。どこをチェックすれば抑えられますか?

塾代が高いと感じる場合、まず3点をチェックしてください。①表面費用の網羅:月謝以外に季節講習・志望校別講座・模試費・特訓費を年間でいくら払うか把握できているか。②実質コストの算出:特待生制度・兄弟割引・自治体助成などの還元を漏れなく適用できているか、入塾後の隠れコストを把握できているか。③家計適合の判定:高3の塾代と大学進学後の費用を合算した中期負担で見たときに、世帯年収比率が健全範囲に収まっているか。本記事の3軸独自再集計表によれば高3で実質コストが表面費用に追いつき、私立高3では「隠れコスト主導」に転換するため、この時期に特に注意が必要です。場合によっては形態の組み合わせ変更(対面予備校を映像授業に切り替える、苦手科目だけ個別指導にする等)で実質コストを下げる選択肢もあります。

Q. 大学受験を見据えると、いつから塾に通わせるべきですか?

志望校レベルと現時点の学力次第で大きく変わりますが、目安として①難関大(東大・京大・旧帝大・早慶・医学部等)志望者は高1から、②難関私立・上位国公立志望者は高2の春〜夏から、③中堅大志望者は高2の秋〜高3の春から、塾通いを始める家庭が多くあります。早く始めるほど通塾期間が長くなり累積費用が増えますが、家計適合の観点では「高3で一気に塾代が膨らむ」リスクを分散できる利点もあります。逆に高3から始める場合は短期間で高密度の対策が必要となり、月あたりの費用が高水準になりやすい構造です。志望校と家計の両方を見て、家族で話し合って決めるのが基本です。

まとめ

高校生の塾代は、公的統計の最新値で公立高校が月約1.7万円(年間201,000円)、私立高校が月約2.0万円(年間238,000円)が一つの目安です。ただし大学受験対策の本格化する高2・高3で大きく増え、公立高校では高3で年間285,000円(月平均約23,750円)まで上昇します。「高校生の塾代は高い」という感覚は構造的に正確で、月謝の額面だけではなく、表面費用・実質コスト・家計適合の三軸で塾代を判断することが、後悔しない塾選びの前提になります。

本記事では、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」の最新値と河合塾・駿台・東進・武田塾をはじめとする主要予備校の公開料金を起点に、高校生の塾代の月平均・学年別の変化・形態別の費用構造・「高校生の塾代はなぜ高いのか」の構造的理由・3軸独自再集計表を整理しました。最も大切なメッセージは、月謝の額面ではなく年間総額で塾を比較すること、そして表面費用・実質コスト・家計適合の3軸で塾代を判断することです。

高校生の塾代は中学までと比べて構造的に高くなりやすい設計になっており、これは塾側が意図的に高くしているのではなく、大学受験対策に必要な指導内容・講師レベル・演習量が質的に異なるためです。「高い」という感覚を「家計適合できるか」の問いに変換し、特待生制度・兄弟割引・自治体助成などの還元を最大限活用しながら、大学進学後の費用まで含めた中期家計設計の中で塾代を位置づけることが、家計が払い続けられる塾選びの基本になります。

本記事の3軸独自再集計表で示した通り、公立高1・高2は還元主導でしたが、高3で表面費用と実質コストがほぼ並び、私立高3では隠れコスト主導に転換します。高3で塾代がピークを迎える前提を、高1・高2の段階から家計に組み込んでおくことで、受験学年での費用急増に慌てずに済みます。塾費用の判断を体系的に学びたい場合は、本サイトのブランド軸記事石川メソッド完全解説|表面費用×実質コスト×家計適合の三軸で塾費用を判定するを参照してください。塾選びの判断軸(志望校×学年×子どもの性格)については、姉妹サイトの志望校から逆算する塾選び|藤原メソッド完全解説を、認定アドバイザー石川 恵美の経歴・連絡先については日本進学教育研究機構 認定 教育費アドバイザー紹介ページを参照してください。家計相談や教育費の最新トピックは石川 恵美のnoteでも発信しています。

中学生段階の塾代の月平均は中学生の塾代月平均ガイド、大学受験フェーズの費用相場は大学受験の塾代ガイドでそれぞれ確認してください。中1から大学受験までの累積教育費で家計適合を判断するのが、長期視点での塾選びの基本です。

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著:石川 恵美/日本進学教育研究機構 塾選びシリーズ 第1巻

高校3年間で60〜72万円規模になる塾代を、「払える」金額として捉えるか「払い続けられる」家計として設計するかで、その後の大学4年間の選択肢が変わります。本書は高校時の塾代と大学進学後の学費・生活費を一体で捉えたうえで、各学年・各志望校レベルで家計適合した塾選びの判断軸を、FPの実務知見に基づいて体系化しました。高校生の塾選びを長期視点で考えたい方に。

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石川 恵美

この記事を書いた人

石川 恵美

日本進学教育研究機構認定 教育費アドバイザー

教育費を専門領域とするファイナンシャル・プランナー。大手保険会社で10年間勤務後に独立。教育費相談を年間200件以上受ける中で、学習塾の費用構造に特化した分析を開始。著書『石川メソッド ── 払える、より、払い続けられる。』(Kindle、2026年5月刊)。